第九話 モテたい年頃のキリト君(キリット part1
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片手直剣基本技「バーチカル」の垂直の剣筋に逆らえずに、岩はライトエフェクトと化して霧散した。
「さてと、残るは……またまた何してんのマソップ嬢」
自身のノルマを達成したことを確認して背後に振り返ったグラントが見た光景は、これまたぶっとんで……という訳でもなく。
話題の新入りメンバーは、自身のストレージから取り出したのだろう投剣用のピックをプスプスと岩に突き刺していた。
「ぐぶぐぶぐぶ、こうすれば貫通ダメージの継続でいずれはこの岩もぶっ壊れるでしょ常考」
「ここまで来てクッソ地味だなおい」
今やその岩は何十本ものピックが突き刺さってハリセンボンの様になっている。それでもなお空いたスペースに薄ら笑いを浮かべながら針を突きさしていくマソップを見ながら、ハルキは隣のグラントから剣を返してもらいながらも耳打ちをした。
「……最近まで牢屋にこもってた様な子だから目ぇつむってあげてハルくん」
「いや、まあ……この際それはまあいいんだけどさ。最近あのマソップさんがやって来てから、やたら鎖骨をどうこうって詰め寄ってくるんだけど、グラントどういう事か、分かる?」
「………………イヤ、シラナイナー」
まさか彼女との間に「ハルキの鎖骨prpr条約」を結んだなんてことはどう口が滑っても言う訳にはいかないグラント。バカモノである。そしてそんな棒読みな返答を素直に信じて、「むぅ……参ったなぁ」とか言ってるハルキもバカモノである。
因みにその後、結局マソップの岩が壊れるのに半日を費やす羽目になり、それまでの間他のメンツはどこかに飛んで行ってしまったトミィの捜索に出向いていた。そうしてクエストのクリア条件を達成した五人を、例のヒゲジィNPCは、どこか遠いところを見るような目をしながら自身の小屋で迎えたそう。
そして、それから二日後の事……つまり今現在である。
「こりゃまた……ずいぶんと個性的なメンバーを集めたもんだな、グラントさん」
「もっと直接的に言ったらどうだい全く、『変人ばっか』ってねキリトくん?」
「いい加減ひがむのやめないか、グラント?」
ここは第十八層。主街区から南東に三十分前後歩いた地点に存在する、地下迷宮型のダンジョンである。
よく考えたらこのギルド、ギルドらしくみんなでダンジョン探索とかしたことないじゃん! という変人ギルドリーダーの思い付きによって、グラント帝国のメンバーは半強制的にこの薄暗い、人気のないダンジョンを行軍しているのである。
因みに、半強制的と言うからにはもちろん例外がいる。
『外出、ダメ。ゼッタイ』
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