第八話 プリズンブレイク in 黒鉄宮
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ムの裏をかくしかない。今回の例で言えば……ナーブギアが映し出すフレーム処理の速度よりも速い速度で壁にぶつかることが出来れば、従来のゲームのように壁抜けが出来るのではないかと考えたのだった。
「でも、どーやってそんな速度をだしたんすかパイセン……あ」
「あーゆー、あんだすたんど?」
どぅーゆぅーでしょグラント。せっかく見せ場なんだからシャキッとしなさいな。
「……パイセンはわざと看守NPCに吹っ飛ばされて、その速度で……」
独房はとても狭い、なのに看守NPCの攻撃には無駄に強力なノックバックが付いていた。
今まではここにいる他の犯罪者プレイヤーの反抗心をへし折るのに役立ってきたのだろうが、まさか運営側もそのノックバックの最高速度を壁抜けの為に使われるとは思わなかったであろう。いや、本来ならばその速度を以てしても成功する確率はかなり低かったはずなのだが、そこはグラントの謎リアルラックである。
「し、しかし異議あり。それだと横の独房に移ることは出来ても格子の外に移る方法がないんじゃね?」
「うむ。それに関してはこれから考えないとなぁ……それに壁抜けだって必ずしも安全とは限らないだろうし」
ごもっとも。このグラント式壁抜けにも欠点がいくつか存在する。
発生頻度の低さは仕方がないとしても、例えば看守にノックバックされるベクトルがしっかりと隣の独房に向いていなければならない。吹っ飛ぶ速度が落ちるだけならまだいいが、なまじめり込みには成功してしまっても中途半端に壁を抜けきれない、もしくは足場のない地点に……俗にいう「裏世界」に踏み込みでもしたものなら、それはもはやデスゲームと化した現在では致命的である。何せ第一層外周から冗談半分に飛び降りただけでも、この世界はそれを死と見なすのだから。
恐らくそれは裏世界ダイブでも同様に起こるだろうし、壁を抜けきれず挟まれでもしたら、今度こそゲームクリアの日まで体勢すら変えることもままならずにその場で硬直を課せられるだろう。
「というわけでマソップ嬢よ。新人ギルドメンバーとしてその実力をこのグラント様に見せつけておしまい!
あ、これ第二回ギルクエにしよーっと」
「ファッ!? べ、別にギルメンになったわけじゃないんだからねっ!? 勘違いしないでよねっ!?」
うん、分かってる。先程から色々と二人の、特にマソップ(ひらがなにしない、これ重要)のセリフには突っ込みたかったんだけど。なんかもう、いいかなって。
「とにかく、今この部屋にはプレイヤーが二人いるんだ。集団になって出来ることが増えたりしないかな……」
「そ、そうじゃん男と女が一つの部屋にぶっ込められたらやるこたぁ一つ……ぐぶぐぶぐぶ…
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