第八話 プリズンブレイク in 黒鉄宮
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うである。恐らく食事を置くために一時的に中に入った相手に向かって突撃か何かをしているのだろう。さっきNPCに敵う訳ないと言ったばかりだというのに。
「ぐぶぐぶぐぶ、看守NPCを出し抜けるなどと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ」
「なんかさっきからブロッコリーネタ多くない!? いやアスパラガスかな!?」
「岩盤岩盤!! 毛布はいかがぁ……ぁぁああああっっ!!??」
その時である。
隣の部屋に向かって意味もなく歓声を上げていた彼女の目の前に、突然、自分の知らない人間の影が、にゅっと姿を現したのである……壁の中から。
いや、壁を「抜け」て。
「よっしゃぁぁぁぁ!!!!せいこうだぜぐはぁぁぁぁっ!!!」
反射的にその場を飛びのいた彼女に代わって、それは勢いよく地面に向かって水平に吹っ飛び、終いには反対側の壁に大激突して……哀れにも頭から床にずり落ちた。
残念だ、確かに残念な有様なのだが。
「……パイセン?」
「そーだ、俺がパイセンだ、じゃなくてグラントだ。えっと、ハグでもする?」
有言実行。犯罪ギルドマスター、恐るべし。
グラントは宣言通り、あの完全密室と化した独房から抜け出すことに成功したのである。
「フレームルールって、知ってるかね?」
「フレームルール……確か、ゲームの画面表示と処理に関するルールだったような」
彼女……プレイヤーネームを「Machop」ことマソップ嬢(ひらがなにしない、これ重要)の返答に補足すると、ゲームというのは一秒間に何十枚もの画像を微小等間隔で映し出すことで画面表示をスムーズな動画にしていて、そしてその画像交換の合間にシステムの処理を行うという形式を採用している。その画像一枚の事をフレームと呼び、そのフレームと合間での処理の頻度に関するルールの事をフレームルールと呼ぶのだが。
「じゃ、そのフレーム間で行われる処理が付いていけない速さでアクションを起こしたとき、どうなると思う?」
そう、端的に言えば、グラントが行ったのはいわゆる「壁抜け」である。うん、あの壁抜け。ケツワープとかのあの壁抜け。
仮想世界と呼べば聞こえはいいが、このアインクラッドにこれだけのプレイヤーを閉じ込めて置ける理由はそのハードウェアたるナーブギアによる知覚操作によるものであって。そしてそのヘッドギアがプレイヤーの脳に疑似的な視覚情報を与えているのであれば、当然今自分たちが見ているこの景色も、それらが生み出した何百ものフレームの移り変わりによって成り立っている筈なのだ。
そこを見抜いたグラントの出した結論は一つ。システムによって脱出不可とされているのなら、システ
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