暁 〜小説投稿サイト〜
SAO(シールドアート・オンライン)
第八話 プリズンブレイク in 黒鉄宮
[5/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る気はないだろう。
 そんな中、突然ハルキは視界の中央に何やらシステムウィンドウの様なものの表示を確認して。一秒たりとも他の事を考えている余裕のない現状ではただの邪魔モノでしかなく。とにかくそれを消すために彼女はウィンドウの下部にあるYESボタンを躊躇いなく押した。
 そう、押してしまったのだ。


 「……あれ、グラント?」


 その直後から、ハルキの背後にいたはずのグラントは忽然と姿を消して……。






 (んで、気付いたらここにいるんだから困ったよねぇ……俺が何したっていうんだか)


 お分かり頂けただろうか。グラントがここ、監獄エリアに飛ばされた罪状は十中八九、「ハラスメントコードへの抵触」だろう。いや女性プレイヤーを羽交い絞めにしちゃそうなるわな。問題なのは未だにグラントはハルキが女性である事に全く気付いていないところだのだが。


 「とにかくだ! 俺にはギルドもあるし、こんな不当な理由でぶち込まれた牢獄なんぞ早く抜け出さなきゃならないんであってだな……」

 「その牢獄なんぞは脱獄不能の絶対要塞ってベータテスターの間では散々囁かれてたらしいけどね、ぐぶぐぶぐぶ」


 はて、グラントは思う。
 このお隣さん、どうして集団に馴染まない(らしい)ベータテスターの事情について知っているんだろう。アルゴの様な情報屋と何かしらの繋がりがあるのか、もしかすると彼女自身がベータテスターなのだろうか。言葉から溢れ出るオタクオーラを察するに、おそらくハルキの様な例外とは違って重度のネットゲーマーなのだろうけど。だがひとまずそれを聞く前に、グラントはここをどうやって抜け出すかを考える為に改めて独房を見回した。
 一言で言い表すなら、三畳ほどしかない石室である。窓すら設置されていない為に今が昼なのか夜なのかも皆目見当がつかない。まあ夜なんだけれども。さっきまで外に居たんだから流石にね。
 そして、窓がないとは言ったがもちろん明かりがないわけではない。部屋の奥にファンタジーな世界観に沿ったかがり火が壁に取り付けられている。あとは部屋の中には今グラントが座っているボロボロのベッドがあるのみだ。


 「……そりゃあ、そうだよなー。犯罪者プレイヤーがそう簡単に脱獄しちゃぁたまんないよね……」


 忘れてはいけない、そもそもここは他のプレイヤーに危害を加えかねないような危険人物を収容する場所なのだ。仮に脱獄の方法があったとしても、そんな入獄して数分のグラントが簡単に見破られるようなものである筈がない。


 「あ、でも看守NPCが食事を運んでくる時に、上手いこと横をすり抜けちゃえば……」

 「アインクラッドに散らばる最強NPCの一人なヤーツですけどまじですか」


 ほんのち
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ