第八話 プリズンブレイク in 黒鉄宮
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る。
それだけではなかった。剣と盾が接触するその瞬間……彼は以前第三層ボス戦でも使ったソードスキル、「ポイズンガード」を発動させていた……毒攻撃な訳でもないのに何故かって?
「ぐあっ……目がっ……!?」
そう、圏内戦闘では物体同士が衝突すると、圏外で起きるようなダメージエフェクトの代わりに、アンチクリミナルコードの発動を知らせるシステムウィンドウの発光が生じる。それに盾ソードスキルのライトエフェクトを重ねることで、目くらましとしてハルキを牽制しようと考えたのだ。
この作戦はゲームのシステムに関してとんでもなく疎いハルくんには絶大な効果をもたらした。ステータス上には何のデバフもつかないとはいえ、リアルで晒されたものなら間違いなく眼球にダメージを負ったであろうその光量に、ハルくん思わず後ろによろめいてしまう。
(くそっ……こうなったら惜しいけどこの本……!!)
ハルキは意を決し、視界のはっきりしないまま剣を振り上げる。もはや今の彼女の標的はグラントではなく、彼女の新たな黒歴史となりかけているその本……お花畑ブックそのものである。システム的に破壊可能なのかはこれまた微妙な気もするけど。少なくとも耐久値は減るからいいのかな。
なぜそこが疑問形なのかというと、結局ハルくんは本を破壊できなかったからである。それも、次の瞬間背後に回り込んでいたグラントに羽交い絞めにされたからという理由で。
「はっはっはそう来ると思ってたよハルくん〜?? 残念ながらそれは今後のハルくんとの交渉材料として取っておかないとだからね?」
「ちょっ……なんでこんな時だけ無駄に計算高いんだよ!?」
全くもってその通り。その洞察力の高さをもっと他の事に使うと良いんじゃないかな。
「という訳でトミィよ、今すぐその本をストレージに収納するんだ!」
「トミィ……? それやったらあとでどうなるかわかるよな……?」
成り行きで始まった争奪戦も終盤である。グラントはハルキを抑えながらもトミィに指示を飛ばし、ハルキはそれに対し凄みの帯びた笑顔でトミィを威圧する。というかトミィ氏残念である、本の置いてある机の前でオロオロしている。ちょっとかわいい。
「ほらトミィ! ギルドリーダーの指示なんだから従いなさいって!」
『ヾ(◎o◎,,;)ノぁゎゎ』
「人のプライバシーを踏みにじるギルドリーダーだぞ!? ……あ、丁度良かった、オルスこのバカ男を何とかしてくれ!!」
「%×○▲♭#$※☆!?」
ただでさえコミュニケーションがろくに取れないギルメンだらけなのである。こんな状況ではまるで統制なんてとれたもんじゃない。というかリーダーのグラントでさえ真面目に仕切
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