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第八話 プリズンブレイク in 黒鉄宮
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があるのでした。
 羽交い絞めにされたとき、その不自由な右手で思わず目の前に表示された何かのイエスボタンを押してしまったのでした。


 「ど、どうすればいいんだそれ……アスナぁ……」

 「え、えっとねー……」


 野郎どもの前では滅多に見せないハルキの弱り顔に、流石のアスナさんも困っていた。
 ハルキの口ぶりからして特にグラントが下心を持って行った結果という訳ではなさそうなのだが……だが当のアスナも一度監獄送りにしたプレイヤーの呼び戻し方法なんて皆目見当が付かない。これはもう、あの黒ずくめの暫定パートナーにハルキの正体を教えて、対処法を聞くしかないか……と。
 アスナがそう思った、瞬間だった。





 「  待  た  せ  た  な  」





 ……「グラント帝国」皇帝(笑)グラント、堂々の復活である。


 「な……な……」


 突如としてルーム内に出現したそのロングヘアー男。直前にアスナに監獄送りになったと聞かされていたものだからハルくん、お口あんぐりしてます。


 「いやー、どういう訳か知らんけど、なんか黒鉄宮に飛ばされちゃってねー」

 「じゃ……じゃあ、どうやって戻ってきたんですか、グラントさん……?」


 もちろんアスナも例外ではなく。彼女の推測通りではあったはずなのに、それならばどうしてここにいるのか……思わず尋ねた彼女に、グラントは気味悪くにやりと微笑むと。


 「監獄? ああ。…………燃やしてきたぜ?」

 「うんまあ間違ってないけどパイセン、牢獄を盛大に爆破してきたみたいな言い方は駄目っしょ常考」





 後に事の顛末を聞いたハルキが、本を読まれそうになったことから始まり、せっかく心配してやったと思ったらナゾぐぶぐぶ少女と一緒になんか牢獄でも楽しんでたらしい事までに渡って全ての鬱憤を晴らすべく……朝までグラントに剣を振り回していたのはまた、別の話。

 
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