第八話 プリズンブレイク in 黒鉄宮
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アインクラッド第一層、はじまりの街。
その中心にそびえたつ巨大なドーム状の宮殿、人呼んで「黒鉄宮」には、ベータテスト時は死亡したプレイヤーが再スタートを切るスポット、「蘇生者の間」が設けられていた。
そしてデスゲームと化してしまった現在、そこにはそれの代わりに「生命の碑」……ゲームに閉じ込められた全プレイヤーの生死を記す碑があるのみであり、ベータ時代とは裏腹に知人の安否を探る等の理由でもない限りは殆どのプレイヤーはそこに訪れる機会は少なかった。
だが例外はいる。各種犯罪、及びハラスメント行為をしたプレイヤーはこの黒鉄宮に設置されたもう一つの施設、「監獄エリア」にてゲームクリアまでの途方もない時間を過ごさねばならなくなるのだ。
当然、環境は普通の圏内エリアに比べてもかなり劣悪である。囚人となったプレイヤーは自分の独房からはいついかなる時でも出ることを許されず、また時々やって来る看守NPCの出す食事も、第一層で振舞われた質素な料理を遥かに上回るまずさを誇っていた。
そんな状況では、そこに閉じ込められたプレイヤーの精神状態もかなり荒んでしまっていると言っていい。言うなれば一触即発の状態である。そこには、ここがゲームの世界である事を忘れさせてしまうかのような、本当の監獄の様な空気が広がっているのであり。
少し覗いてみよう、例えばあの部屋。中にいる茶髪のロングヘアー男は……。
「ズクダンスンブングーン、ゲスパンプンサンプーン、エスケンサン、カストンピン、ケスぺンスンカンタンクーン!」
……めっさ楽しんでおりましたとさ。
「ツッチーツッチーツッチーツッチーツッチーツッチーツッチーツッチー」
さてさて、どうやら彼……もうお分かりだろう、グラントのしている、だいぶ前にちょびっとだけ有名になってすぐに流行の波に消え去った遊び「ズクダンスンブングンゲーム」にはどうやら相手がいるようである、その落武者男を囲う独房の壁から、隣の囚人の声が聞こえてきた。
「ズクダンスンブングーン、ゲスパンプンサンプーン、エスケンソン、カスパンセン、ケスポンスンコンタンカンクーン!」
「一拍多い、さてはエアプだなオメー」
「そのようなことがあろうはずがございません」
だから言っただろう、とんでもねぇカオティックフィールドだと。え? 言ってない? というかそのゲームって、相手が見えてないとまるで意味がなくね?
「……負けたっ!」
いや、そのグラントの敗北宣言から察するに、決してそんな事は無かったようだ。さっき一拍多いって指摘したのは何処のどいつだよ。なんでそれで負けるんだよ。
「ぐぶぐぶぐぶ、ワイに勝とうと思うこと自体がおこがましいって
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