第百十話 八神、都に来るのことその四
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「全く。ではわたくしは何をすれば宜しいのですの?」
「歌われないのならお静かに御願いします」
「御馳走でも召し上がられて」
「そうですわね。ではその御馳走は」
何なのか。袁紹は話す。
「皆さんで召し上がられるということで」
「そうですね。それがいいです」
「今回は召し上がられることに専念されて下さい」
「では。あちらの世界の御料理を主体にして」
ここでの御馳走はそれだった。
「そう致しますわ」
「正直ほっとしています」
「今とても」
姉妹は心から言った。
「どうか本当にです」
「大人しくして下さい」
「わかりましたわ」
こうしてだ。袁紹はだ。
今回は大人しくなった。何とか止められた。
それぞれがあれこれ考え用意する中にだ。この男も来た。
八神は洛陽の門にいた。その彼を見てだ。
門番の兵達がだ。ぎょっとした顔で彼に問うた。
「八神庵!?まさか」
「一体何をしに来た」
「また草薙君と戦いに来たのか」
「その為にここに来たのか」
「それならば」
彼等は一斉に槍を手にしてだ。そうしてだ。
八神を取り囲もうとする。しかしだ。
彼はその兵達にだ。臆することなくこう返した。
「安心しろ。俺は今はだ」
「今は!?」
「今はというと」
「何をしに来た」
「聞いた」
まずはこの言葉からだった。
「また戦いがあるな」
「だからだ。草薙君とか」
「また殺しに来たというのだろう」
「違うのか、それは」
「あいつとの闘いの前にだ」
八神は言う。
「倒しておく奴等がいる」
「倒しておく奴等?」
「ではそれは一体」
「誰だ」
「何処のどいつだというのだ」
「オロチだ」
彼等だとだ。八神は言った。
「そしてネスツもいるな」
「あの連中と戦うのか」
「そうだというのか」
「だからここに来た」
八神は何も動じないまま言っていく。時折その右手が動く。
「オロチを倒す為にだ」
「では草薙君とは闘わないのか?」
「まさかとは思うが」
「奴との決着の前にだ」
どうするか。八神は言う。
「俺に何かと言ってきて利用しようとしたあの連中をだ」
「倒すのか」
「そう言うのか」
「俺は誰からも利用されない」
八神の信念の一つだ。
「そして利用してくれた奴はだ」
「殺す、か」
「そう言うのか」
「そうだ。殺す」
まさに一言だった。その一言にだ。
八神は全てを入れてだ。そして言ったのである。
「そうする」
「だからここに来たのか」
「オロチ達と戦う為に」
「その為にか」
「わかったらどけ」
今度は兵達に告げた。
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