第七話 「燕返」対「虎切」
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ー」
トミィと共にやたらめったら興奮しているオルスを見張りながら二人のデュエルを離れて観戦しているグラントは、その技をよーく知っていた。
要はカウンター技であり、相手の攻撃を発動時のライトエフェクトに触れさせられれば、直後にソードスキルの中でもトップクラスの速度で、反撃の一刀を打つことが出来るという代物である。
ベータテスト時代には、第十層後半に出現するオロチ型モンスターがよくそれを多用し、あと少しで倒せると息巻いて追撃をするプレイヤーを蹴散らしていたものだ。もちろんグラントもその被害者の一人である。
「どーだハル公! これがオレの必殺奥義、『燕返』だぜ!!
あのコジローの技の名前を冠した、絶対無敵のカウンターよ!」
「……コジロー?」
起き上がって再び剣を構えるハルキが、訝しげに聞き返す。
何だかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け……ではない、真面目な方のコジローであろう。あの、ムサシさんに巌流島でやられちゃったらしいコジローである。
「へへっ、まさかオレがかのコジローの技を習得できるなんてな……おっと、ハル公は覚えられないんだったか?」
ピキッ。
その時、グラントは聞いた。いや効果音としてその場で鳴った訳ではないのだが。
だが今、あからさまにハルキの額に、青筋の立った音がしたのである。クラインさん今のはマズったな……落武者男がぼやく。
そしてそんな彼の予感に応える様に、ハルキは再びクラインと切り結ぶ為に地を蹴った。
「覚悟はできてんだろうなぁ……クラインよ……?」
「おぅともさ! そうこなくっちゃあなハル公!!」
ハルくん怖い。マジでクライン殺しにいってないかい。初撃決着モードだよ、知ってる?
「……次の一手で、勝負が決まる!!」
「うっせぇぞグラント。黙って見てな」
「わりぃなグラント、オレも同意するぜ」
「ハーイスイマセーン」
『(*゚∀゚ノノ゙』
せっかく場を和ませようと言ってみたのに、見事に返り討ちである。やめてオルスさんトミィさん、グラントの背中を叩かないであげて。それ逆効果だよ。
「……■☆♭*△#?%◎&」
しかもオルスの方は何言ってるのかさっぱり分からない。もうヒドイ。グラちゃん悲しい。ママー。
さてさて、しかしグラントのそのネタ発言もあながち間違いではなく。ハルキもクラインも、あと数合打ち合えば決着がつくという暗黙の了解をひしひしと感じていた。なのでここからは一撃ごとに解説することにする。
まず一撃目。これは何のひねりもない武器同士のぶつかり合いだった。ハルキが先程のクラインの「辻風」顔負けの速度で放った剣を、されどク
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ