第七話 「燕返」対「虎切」
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するために付けられたであろうライトエフェクトがある為、不意打ち等の隠密行動時にはとても扱いづらい上、そもそもその動作自体、格好良すぎてあまりに無防備というものだ。
また、プレイヤーはソードスキルを放つために、通常の剣の斬り合いの動作とは別個に、その開始モーションをどこに盛り込むかを考えなくてはならない。それが例え容易に確認できない程のわずかな思考だったとしても、刹那の判断で勝敗の決まる世界で戦ってきたハルキにとっては格好の隙でしかない。
……現にたった今、目の前で自分に向かって刀を振るっているクラインは、その攻撃をコンマ何秒か、唐突に止めた。これは正しく、何かしらの決め技を使おうとしているシグナルであり。
「へへっ、驚くなよ、これで……っておいぃぃぃ!!??」
だからこそ、どうやら彼が必殺の技として選んだらしいカタナスキル「浮舟」の軌道、大下段から大上段への斬り上げをほぼ正確に読み切ると、ハルキはその太刀筋を紙一重の所で避け、間髪入れずにいわゆる小手打ちをクラインに叩き込むことが出来たのだった。
この「浮舟」という技、カタナスキルの中ではそこまで威力は高くないのだが、目の前の敵をガード関係なく上方に打ち上げるという凶悪な性質を持っている。クラインはそれを利用して隙のないハルキを強引に崩そうとした訳なのだが、今回はハルキに逆手に取られてしまった様だった。
だが、そんな考えを持っていた彼女の常識を大きく覆す事態が、この直後に勃発したのである。
「くっ、そおおっ!!」
「……っ!?」
苦しみ紛れの抵抗に見えるものの、完全にハルキに裏をかかれてしまった筈のクラインが……しかし、その腕から先に謎のライトエフェクトを纏わせる。明らかに怪しい、とハルキも察したのだが、その時には既に彼女の剣先はクラインの手首に接触していて。
次の瞬間、デュエルの流れは一変した。突然クラインはハルキの剣から逃れる様に瞬きする間もない程の速さで一回転し、彼女の斬撃から見て真反対の方向から神速の斬撃を放ったのである。
「ぐ、おぉっ……!?」
ハルキはその予想外の攻撃に息を呑みながらも、身体を敢えて前に深く踏み込ませながら捻ってそれを回避する。自身の短髪がクラインの刀を擦ったのか、彼女の視界は切れた自分の黒い髪の毛で一杯になった。
「今のはっ、なかなかきつかったぜ」
何とかクラインの披露した奇術から逃れたものの、こちらの体勢は大きく崩れている。このままではヤツの二刀目を避ける事は出来ない、ハルキはその直感のままに身体を動かす。彼とすれ違う様にしてその刀の軌道から離れると、そのまま半ば地面を転がる様にして距離を取る。
「……うわぁ、何かやーなモノを思い出しちまったナ
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