第七話 「燕返」対「虎切」
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るのはこれが初めてではない。実はこの野武士男、片手直剣を両手で持ち、ソードスキルを完全に無視して柔軟性のある剣道スタイルで戦うハルキに、かなり惚れ込んでいるようなのである。
曰く、『オレはハルキみたいに剣の達人って訳じゃねぇけど、いつか必ずソードスキルであいつの剣術を破ってみせらぁ!!』との事。
そういう意味では、遂にハルキの知らない装備及びソードスキルを手に入れたクラインは、その目標を達成する絶好の機会を得ている事になるのだが、果たして。
いよいよ残り十秒まで迫ったその時、二人はお互いの武器を腰に実体化させ、利き手をその柄にかける。その様はまるで本当の武士同士の果たし合いの様であり、周囲にもその緊迫感が伝わったのか、それまで沸き起こっていた喧騒が次第に止んでいった。
……そして。
「で……りゃああああっっ!!」
カウントダウンがゼロになり、デュエル開始の合図が宙空に表示されるや否や、クラインは自分の武器をソードスキルのライトエフェクトで光らせた。そして次の瞬間には、システムアシストの力を借りてあっという間にハルキとの距離を詰めると、左腰に構えていた刀を右斜め上へと、居合いの要領で振り抜く。
カタナ単発突進技「辻風」である。その威力もさることながら突進速度に重きが置かれていて、その速さたるやトミィの疾走スキルに迫る程である。
だが、ハルキもこの数か月間、何もしないで過ごしていたわけではない。
「ふーん、便利な技だけど……どうってことはないな」
「な、なにぃおおっ!?」
驚くなかれ、ハルキは特に急ぐ様子もなく、剣を鞘から抜き放つ動作そのものを利用してクラインの刀を受け止めたのである。居合いを居合いで受けた、というと分かりやすいかもしれない。
「く……そおうっ、これでも、食らいやがれぇ!」
初見殺しのつもりで発動したのであろうそのソードスキルを、いとも簡単に防がれてしまったクラインは……しかしめげずにそのまま至近距離で、斬撃を雨のようにハルキに降らせた。攻撃だけではなく、先手を取って相手の攻撃を抑え込んでしまうという意味でも十分有効な策である。やはり伊達にゲームオタクをやっている訳ではないらしいクライン、他のゲームでもギルドリーダーやってたクライン、戦いの運び方が分かっている。
だが、ハルキは思った。ソードスキルの威力が絶大だろうと、相手のステータスが高かろうと、それだけでは補いきれないバトルセンスというものは、残念ながら存在する。
例えばソードスキル。その母数の多さから、本当に様々な立ち回りがそれの活用によって可能となっているが、その「ソードスキル」というシステムもいちゲームの仕様である以上、彼女に言わせれば純粋な戦闘技術ではないのだ……見栄えを良く
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