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SAO(シールドアート・オンライン)
第七話 「燕返」対「虎切」
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察するにグラント達を悪人と疑った訳ではなさそうなのだが。


 「あ、こら! どこ行くんだよ!?」


 咄嗟にハルキが後を追い始める為に駆け出そうとしたが、それをグラントが手で制する。何でだよ、と訝しげにその落武者男を見やったが、やがて彼が大声で叫んだのを聞いて、徐ろにその声の向かい先に振り返った。


 「クライィィン!! その人、捕まえてちょ!!!」


 そう、グラントの目の先には、攻略組に参加するべく精力的にレベリングをして実力を蓄えつつある中堅ギルドの星、「風林火山」のギルドリーダー……赤いバンダナがトレードマークの男、クラインが街路を歩いていたのだった。
 ここズムフトの街はギルド結成クエストの受注ポイントな事もあり、何かしらギルドに利益のあるアイテムが報酬になっているクエストが比較的多かったりする。現に例の二大攻略組ギルドやその他色々なギルメンがしばしば、それを目的にこの低層区に足を運ぶ事があるのだが。
 今回のクラインもその類だろうか。未だギルメンを一人も死なせずに見事ギルドを機能させているその男は、しかし実際は気さくでナンパな野武士面男である。
 え? じゃあ落武者のグラントと同類じゃないかって? 分かってないなぁ、あっちはマジもんの武者然なのだよ? 落武者とは格が違うのだよ?


 「んぁ? よう、グラントじゃねーか!! ちょうど半月ぶりってか……って、おわわわわっっ!!」


 補足。クラインとグラントは、お互いほぼ同時期にギルドを結成した同期ということで、約ひと月前から度々交流を重ねている。
 最も、クライン率いる「風林火山」が順調に攻略組への道を邁進しているのに対して、グラント率いる「グラント帝国」は全く進歩のそぶりは見せていないのだが。
 それはともかくだ。そのバンダナ侍ことクラインは突然眼前に詰め寄ってきた金髪外人男に驚いて、両手を目の前に突き出した。だが一向に激突する気配はなく、恐る恐る彼が目を開けると。


 「……あり?」


 クラインだけではない、逃亡を計ったオルスに追いついたグラント達も、その光景に唖然としている。何かってグラディエーターのオルスさん、クラインの前に立ったまま、彼に何とも言えない……敢えて言うならば「なかまになりたそうな」視線を向けていたのだ。
 そして、極め付けには、次の言葉である。


 「……ニッポン!! サム↑ライ↓!!! カ、タ〜ナ!!!!」



 「……カタナ!?」


 他のメンツがそのカタコト日本語にドン引きしていたのに対して、ハルくん一人だけ違うところに反応してる。流石剣術バカ。
 だが実際、唐突な仲間イベントに面食らっているクラインは、今まで彼女が一度もお目にかかったことのない……正真正銘の「刀」
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