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SAO(シールドアート・オンライン)
第七話 「燕返」対「虎切」
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ラインも何とか受け止めてみせた。やはり伊達にカタナスキルを手に入れる程の戦闘を積んだだけはある。
 次に二撃目。暫くの鍔迫り合いの後、お互いに大きく相手を押し飛ばす様にしてバックステップを踏みながら、退き様に振った剣と刀が再び交錯する。だが今度のは初撃とは違い二つの武器はすぐにそれぞれの手元に戻ることになった。
 二メートル、ギリギリないであろうクラインとハルキの距離は、それでも中距離とさえ言えない程には接近していると言える。お互いの攻撃が必中距離にあるのだ、その予断を許さない状況の中……先に動いたのはハルキだった。


 「……はあっ!」


 三撃目。ハルキが持つ愛剣を構え直し、大きく右足を踏み込んで大上段から振り下ろした。その動きは普段の彼女と比べると些か大振りと言えるだろう。
 しかし、その時だった。クラインはこの正にピンポイントなタイミングで、再び腕から先をライトエフェクトで包ませたのだ。先程と同じカタナ反撃技「燕返」である。


 「これで……終わりだぜっ!!」


 そう、そのクラインの言葉通り、ここに勝負は決するかに思えた。ハルキのその一振りが彼の刀に振れた途端にカウンターがハルキに襲い掛かる。剣を強振してしまっている彼女は今度こそその一刀を避けることは出来ないだろう。
 だが。予想に反して、ハルキのその剣はクラインの鼻先を掠めるように彼の眼前を斬ると、そのまま地面へと剣先を下ろしていく……要は空振りである。ここにきてハルくん、大事な一撃を外してしまったのだ。
 しめた、とクラインは不発に終わった「燕返」から、とどめの一撃をハルキに与えるべく動作を切り替える。カウンター技を綺麗に決められなかったのは残念だったが、勝ちは勝ちである。そう、勝利を確信した野武士男は……その圧倒的有勢から、分かりやすくも油断してしまったのだった。
 そんな様子だったからもちろん、彼はハルキの、その悪魔の様な微笑みも見えていなかった。



 「コジロー、敗れたり」






 後にハルくんが解説したところによると、かの有名なコジローの必殺剣技「燕返し」の実態というのはどうもはっきりしていない様で、その中でも一番近い剣技と言われているものが、某古流の剣術「虎切」であるという事だそうだ。
 この「虎切」という剣術は、一度相手の目の前で刀を斬り下ろし、空振りをしたと相手が思い油断したところを、刀の刃を上に返して斬り上げるというフェイント技であるらしく……ってあれれ、これ時代小説だっけ?


 「んま、残念ながら所詮はニセもんの剣技ってことだね」


 ハルキはそう得意げに説明を終えると、数分前に彼女自身によって見事にその顎をかちあげられた哀れな敗北者、クラインをニヤニヤと見下ろす。
 こうして、カ
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