第七話 「燕返」対「虎切」
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る人材が現れたって事かな?』
『ンー、それはどうか分からないけどナー……ま、会いに行けば分かると思うゾ。何で異端扱いされてるのかもナ』
と、言われてしまったらこれはもう行くしかない。という訳でグラント達は、丁度良く先程エルフクエストを受注すべくここ第三層の「迷い霧の森」と呼ばれるエリアへと足を運んだらしい、そのプレイヤーを追う事にした。
暫定的拠点であるズムフトの街から数十分歩き、そして前にハルキとグラントが二人で訪れた時とほぼ同じ、剣戟の音を頼りに二人のNPC……フォレストエルフとダークエルフの戦っている現場へと辿り着いたのだが。
そこで繰り広げられていた光景は、二人の予想を大きく裏切るものだったのだ。
『……どうなってるのこれ』
それは大柄な体躯の片手棍使いだった。見る限りでは盾を持っていなく、全身アーマー装備という訳ではないのだが、体装備のあちこちには重厚そうな金属が施されている。金髪を(グラントほどではないにしろ)風になびかせていて、何とも外国の神話に出てきそうな、いわゆるグラディエーターの様な風貌である。オリオンとかヘラクレスとか、そんな感じだと思ってくれれば間違いないか。
『こ、これは、流石の俺もたまげたなぁ……』
『(°д°)』
で、だ。何がたまげたのかというと、その勇猛な戦士様、どうやらもともと対決していたエルフNPC達両方に喧嘩を売っているようなのである。
ハルキは以前、何とかこの二人のNPCの争いを止めるべく巻き起こる剣戟を捌きながら説得を続け、グラントを大いに悩ませた過去を持っていたりするのだが……そのプレイヤーはむしろ逆に二人とも倒すつもり満々の様である。みんなあれですか、普通のプレイングは嫌いですか?
加えて目当てのソイツは、かなり強いようだ。片手棍のソードスキルはどちらかと言えばタンクの使う支援系のものが多く、一般的にはアタッカーの持つ武器としてはあまり好んで採用はされないものなのだが、この男……どうやら数少ない攻撃系のスキルに特化して戦闘を行っている。
こんなにアグレッシブなメイス使いなんて初めて見たぞーと、グラントは内心舌を巻いていた。
『……あの男、やりおる』
エルフ剣士達に剣の連撃をさせる隙すら与えず、重量のありそうなメイスで大きくノックバックさせて戦いの主導権を握っているそのグラディエーターを眺めて、グラントはつぶやく。いや、単にプレイヤースキルの度合いに留まらない、あの動きは相手の、言うなればNPCの動くアルゴリズムを正確に把握した上で成り立つものだ。
欲しい。メッチャほしい。あいつが加われば、今後のグラント帝国も安泰というものだ。
『とはいえ、だ。あの調子だと、どっちも敵に回したとこ
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