第六話 ギルクエ? なにそれ? おいしいの?
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れに今回の彼女のこの一言は、今までとは違い新たな技を試すための、意識の切り替えスイッチのようなものなのだから。
「いーよ、お前にやったろうじゃないか。ちょっと前から考えてはいたけど、実践するのは初めてだぜ」
このナーブギアによって確立したフルダイブ型VR環境では現実世界と違って、重力などの既存の物理法則に制限されにくいという特性がある。現にそれを利用したアクロバティックなソードスキルというのは、例を挙げるなら短剣を始めとして、もちろん片手直剣などにも複数存在する。
と、言うわけでハルキは考えたのだ。現実世界では不可能と言われるような大胆な剣術を、この世界でなら試せるのではないかと。今までグラントに振り回されていたのもあり結局それを実践する機会はなかったが、攻撃性能が低く防御性能に長けているこのNPCはそれを試す格好の敵である。
オレンジじゃなくなる前に、やるだけやっておこう。彼女はそう決めて、剣を一旦アイテムストレージに収納すると、今度は背中ではなく左腰に下げるようにして実体化させた。そして左手で鞘を押さえ、右手でその柄を握り……相手に向かって突っ込んだ。
まるで抜刀術の様に剣を左下から右上へと斬り上げるハルキに対し、衛兵はまたもや凄まじい速さで槍を翻してそれを受け止めて。
「かかったな」
ハルキが不敵に笑う。たった今防がれた筈の剣をさらに右に引きぬくと、自身は衛兵の左背後に背中合わせで一回転しながら飛び込む。衛兵の目の前に残されたのは、どういう訳か剣の「鞘」のみ。
何が起こったのかというとハルくん、剣を帯びた鞘ごと初めの一刀をフェイントとして敵にぶつけたのである。そしてそれが敵に防御されるや否や鞘から剣を抜き、バスケのピポットターンの様な動作で敵の後方に移動して……そのまま、生じた体の回転を利用して。
次の瞬間にはその無敵を誇るNPCの右腰を剣で薙ぎ払い、大きく横に吹き飛ばすことに成功した。何だっけか、隙を生じぬ二段構えだっけか。
もう幕末に行っちゃえよ抜刀妻。いやそれアスナさんだっけ。
「へへ、残念だったなグラント。どうやらあんたの隠し味とやらを使うまでもなく……どあぁぁっ!?」
だが喜ぶのもつかの間。その勢いでもう街に入っちゃおうかとハルキが動き出すや否や、つい今しがたまでダウンしていた衛兵NPCがグラサン金髪オールバックな某特殊部隊隊長さんもビックリなとんでもない速度で、十メートルはあったであろうハルキとの距離を一秒足らずで詰めて再び目の前に立ちはだかったのだから。
『(((゜Д゜;)))』
「まったくだよ!!」
唐突なメッセージに珍しく同意を返しながら、そういや後ろにはその送り主ことトミィ氏が
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