第六話 ギルクエ? なにそれ? おいしいの?
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表直後にグラントの言っていた、「システム補正がかかっているとしか考えられない動き」なのだろう。それを彼女が察するよりも速く、衛兵は攻撃に転じていた。
「ぐっ……ひ、久し振りに手応えがある敵だな……!!」
いやいやハルくん、君つい一週間近く前に一層のフィールドボス、通称コボルド軍曹にコテンパテンにされかけてたでしょ。だめよあれカウントしないと。それはともかく、純粋に技術の問題で苦戦するレベルの攻撃と防御を繰り出してくる衛兵に、分かっていたこととはいえハルキは少々戸惑っていた。
「あいつが来るまでっ……もつか……分からねぇぞっ……!!」
今回のハルキの役割は、簡単に言えば尺稼ぎである。
今この時間にグラントが作戦のとある下準備をしているのだが、それが終わり彼が再びここに戻ってくるまでの間、衛兵のヘイトを集めて持ちこたえるのが目的だ。
因みに、それなら初めから戦闘を仕掛けなければ良いんじゃないかって思うかもだけど、そこに関しては一応、グラントの用意したそれ……彼の言葉を借りるなら「隠し味」をなるべく不意打ちという形で成功させたいからというそれなりの理由があったりして……いずれにしてもハルキに求められているのはその時間までの耐久である事は間違いない。
「まあ、やるだけ、やってやるか!」
ハルキは衛兵の繰り出した槍の一突きを右に受け流すと、その槍と入れ違うようにして相手の懐に入り、そのまま上段、相手の顎を狙って鋭い突きを放った。これを目の前のNPCは完全に避けることは出来なかったようで、大きくバックステップをするその顎には赤いダメージエフェクトの筋が通っていた。
(お、ダメージは通るみたいだな……全く堪えて無さそうだけど)
先ほどこの衛兵NPCは圧倒的防御技術と圧倒的素早さを誇ると述べたが、ではその体力や如何ほどかというと、これが曲者でよく分からないのだった。
というのも、フロアボスでさえ傍に自身のヒットポイントバーを表示させているというのに、この衛兵にはそのバーが存在しないのだ。この現象を目の当たりにしたプレイヤーからは、この衛兵は持つ役割(犯罪者プレイヤーを圏内に入れないというシステム上のルールを遵守する、というもの)を考慮してもヒットポイントが無限に設定されている、あるいはとてもプレイヤーが削り切れない程の膨大な体力を有しているなど様々な推測が飛ばされたようだったが。
果たして、それをまたまたグラントから聞かされていたハルキは、一向に怯む様子のない敵にどこか納得して、げんなりした。
「……よし、こうなったら、だ」
ハルくん、独り言が多いとか言ってはいけない。これでも文の区切りの為に重要な要素なのである。そ
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