第六話 ギルクエ? なにそれ? おいしいの?
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「えー、だってあそこ結構プレイヤーいるし、目立つじゃん。下手したら犯罪者ギルドだって思われるかもだし」
「……一応人目につきたくないって思うくらいには分別があるのな」
グラント、微妙に小心者である。
「んじゃ、質問二つ目。どうしてここ、第二層なんだよ?」
「まあ、ハルくんたちがオレンジの状態で他の層に転移するのって、結構難しいってのもあるけど……実は、ちょっとした『隠し味』も考えていてね?」
「あー、長くなりそうだから次の質問いくぞ、どうせこっちで分かるようなもんだし」
この時点でハルくん、完全にノリノリである。終始黙ったままのトミィ氏も初めは及び腰だった姿勢が、今は若干前のめりになっている……ように見えないこともない。
そしてついに、ハルキが最後の質問を口にすると、グラントはにやり、と不気味に微笑んだ。
「……どうやって、あのNPCを妨害するわけよ?」
「はぁ……バカだよな。こんなどーでもいーこと、なんでこう思いつくのかな」
場所は変わらず、タランの村入り口付近。だがここでグラントが第一回ギルクエの内容を発表してから既に小一時間が経過している。加えて当の本人は「役割」を果たすためとはいえ、発表直後にとある場所に向かって以来音沙汰がない。今この場にいるのは彼からの連絡待ちであるハルキと、そして今回の作戦において最も重要な役割を持つトミィ氏のみである。
「ーーー、ーーーー。」
だが、ハルキはそんなキーパーソンたる彼とろくにコミュニケーションが取れていない。決して仲が悪いわけでもお互い人見知りをしている訳ではないのだが、そういう問題ではなく、単純に彼の声が聞こえないのだ。
「なぁ、無理に話せとは言わないけど……何かしらの意思伝達手段は必要なわけだよな?」
呆れたように話しかけるハルキに、がしゃと音を立てながらトミィは振り返ると、カクカクと頭を縦に降る。
「その、その声量じゃ小さくて聞こえないんだよな……ほら、ボス級のモンスターとかと戦ってる時とか、一々聞き直していられないだろ?
だから何かしら、別のコミュニケーション手段を考えようぜ」
ハルキのその言葉にそのプレイヤー、全身鎧とは言っても実はそのサイズはハルキの体躯よりも小さかったりするトミィは暫く首を傾げていたが、やがて徐ろに自身のウィンドウを開く。そうして何やら自身のバーを弄っている彼をハルキは少しの間不思議そうに見つめていたが……やがて、通知音と共に視界の右端に、小さな手紙のアイコンが点滅した
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