第六話 ギルクエ? なにそれ? おいしいの?
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存在する。それは文字通りカルマ回復クエストをこなすことによってカーソルをグリーンにせねば圏内へ入ることが出来ないというものなのだが、実際にオレンジプレイヤーが街などに入ろうとすると、入り口に常駐している衛兵NPCが阻止せんと襲い掛かってくるのである。
そしてこの衛兵NPC、とんでもなく強いのだ。低レベルのプレイヤーからトッププレイヤーまでオレンジになりうるプレイヤーの層が幅広いためか、攻撃力は一層のボア程度にしか設定されていないのだが、その代わりに圧倒的防御技術、圧倒的素早さ(というより素早さの方はシステムの補正がかかっているとしか考えられられない動きをするのだが)を誇り、グラントの知る限りでは、ベータ時代から一度も突破し街に侵入したオレンジプレイヤーの話を聞いた事は無かった。
「という訳で、俺達がその第一号になったろうよ! ね? ねぇ?」
「いや、あのさ……馬鹿な事してないで早くオレンジカーソル変えたいんだけど」
「ばーかな事とはなんだねハルくん。これは重大な実験だよ?
もしこれが成功したら、犯罪に手を染めるオレンジプレイヤーが圏内に入る手段が、実は存在したって事になるのだよ?」
唐突ながら、このグラントの発言は本人の自覚無しになかなか危険な香りを含んでいた。ハルキはそれを聞いて、ぐぐっと言葉を詰まらせる。
自ら進んでオレンジになろうとするプレイヤーとそうでないプレイヤーとでは、オレンジ化する回数に大きな差が出てくる。一般プレイヤーがオレンジになる可能性なんぞ、せいぜい今回のハルキのような突発的なアクシデントに巻き込まれた時ぐらいのものだが、犯罪者プレイヤーというのは機会はおろか自ら進んでオレンジになりたがる連中だったりもするのだ。
そこまでプレイスタイルに乖離があれば、当然このデスゲームと化したSAOに対する観念や主張……ようは見える世界が違う事も致し方ない。
という訳で、そんな事を思いつくグラントの思考回路はどうかとは思うものの、今がそれを確かめるいい機会である事は確かなのである。オレンジプレイヤーという立場がどういうものなのかの検証という意味でも。
……もちろん、当の落武者男はそんな事カケラにも思っていないだろうけど。
「もーハルくん! そんなにコン詰めないでよ〜、ちょっとしたチャレンジみたいなもんじゃん?? チートは良くないと思うけどバグ技裏技は大歓迎ってだけだぜ!!」
「重大な実験」なのか、「ちょっとしたチャレンジ」なのかどっちだよ。というか最後の方の下り色々と問題な気もするぞ?
「……まあいい、取り敢えず話を聞こうじゃねーか。だけどその前に質問、させてもらうぞ。
一つ目、なんで主街区のウルバスでやらないんだよ?」
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