第五話 天上天下唯我独(以下略)
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人いないと思われるが)はその感情もひとしおだろう……と言うわけでハルキさんめっちゃ怖いです。さっきの盾ガンガンもあってトミィさん、再び装備をガチャガチャ言わせながら震えてます。
「むぅ、分かったよ、種明かししたげるからそんなに怒らないでハルくん」
「はい? 種明かし?」
だが、そんな時。グラントがまさかのセリフをハルキに投げかけた。ハルキは訳がわからず、短く聞き返す。
「俺、第三層ボス部屋で『全アイテムオブジェクト化』ってやったでしょ。あれ今すぐやってみ?」
「へ? ああ、あのキバオウさんと戦った時のあれ? どうやるんだよ?」
「えっとね、まずウィンドウ開いて? んで……」
グラントの指示に従い、何も考えずに自身のアイテムストレージを弄るハルキ。やがて彼女のその表示に例のボタンが現れるのを確認すると、
「このボタン、『自分の所有しているアイテム』が全部オブジェクト化するわけ。だからハルくんの所有物であるあの剣もここに呼び寄せることが出来るんだゾ」
「おおお……それは嬉しいな! グラント、初めてお前を見直したよ!」
先程は相手の正体も掴めておらずとてもそんな事を解説している暇もなかったので後回しにしたが、今となっては余計な心配だったようだった、そう考えながらグラントは、手放しに喜ぶ珍しいハルキの姿に得意になって踏ん反り返っていた。
だが、である。そのまま目的のボタンをハルキが押した直後……そんな彼女から、一つだけ質問をされる事になる。
「……あのさ、このボタンで実体化する対象の範囲って……?」
「んー? そんなの全部に決まってるじゃん、回復ポーションからインナー装備まで、何から何までぐふぉぉぉっ!!??」
その言葉は最後まで続かなかった。
ハルキが無意識に放った至近距離からのショーリュー拳によって、グラントは次の瞬間意識を失って宙空を舞う事になったからである。この瞬間彼女のカルマ回復クエストの難度が若干、上昇したことは言うまでもない。
「ふぅ。危なかった……今更バレるわけにはいかないからな……うん?」
そして目の前に落ちて来た、ハルキの全アイテム―――他の女性プレイヤーに比べればその数も少ないと思われるがそれでも一部には初期装備のスカートや頭装備のリボンなど、更には先程グラントも述べたインナー装備など、彼女が女性である事を特定出来てしまうものがあった―――を見て、密かにため息をつきながら、手早くそれらを収納し、一番底にあった愛剣を拾い上げながら安堵の胸を撫で下ろし……そして。
「何も、見て、ないよな?」
一部始終を目撃していた、この場にいるもう一人の人間。
鎧
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