第五話 天上天下唯我独(以下略)
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あまりにも突然、自分の予期せぬタイミングでその剣が無くなってしまった事がよほどショックだったのだろう。
「け、剣が……え……なんで……?」
ハルキはその場で二秒ほど、残心をとる様に固まっていたかと思うと、がっくりと膝をついて頭をふるふるし出した。その有様は見るからに可哀想だ。これには流石にグラントも掛ける言葉を見つけられず……いや実はそんな事はなかったのだが。
「と、とにかくハルくん、今はあいつの動きを止める事を考えよう? ね? ね?」
若干半ベソ気味のハルキの肩をがくがく揺すってそう諭すグラント。現状打開のためには仕方がないとはいえなかなか鬼である。だがそこはハルくん偉かった。暫く戦線離脱したっておかしくないくらいの衝撃だったというのに、
「……あいつ、絶対許さねぇ……ちくしょう、何だってんだよっ!!」
「はーいストップストップ。ハルくん今オレンジな事忘れないでね? カルマ回復クエストの難易度が上がっちゃうから」
「かるま、回復クエスト?」
説明しよう。このSAO内で犯罪を犯したプレイヤーはそのカーソルがオレンジに染まってしまう訳なのだが、このオレンジを再びグリーンに戻すにはプレイヤーにとって罰となるクエスト、通称「カルマ回復クエスト」を受けねばならなくなる。だが犯した罪が重ければ重いほど、あるいは罪を重ねれば重ねるほどそのクエストの難易度は跳ね上がっていく。
と言うわけで、ただでさえ今オレンジプレイヤーになってしまっているハルキはこれ以上他のプレイヤーに攻撃を重ねると、この後受けるべきカルマ回復クエストの難度が上がってしまう。罰則用な事もありなかなか面倒な性質のクエストなので、出来るだけ難易度は上げない方が賢明である。
「そんな、じゃあ、どうしろって言うんだよ……」
「ハルくん、君にはあのプレイヤーの動きがある程度見えるんでしょ?」
「……なんだよいきなり。まあ、ホントにある程度だけどな」
「それで十分。よし、じゃあ相手が俺のどっち側にいるかとか、見えた瞬間に手早く教えてくれよ。
俺なら、オレンジにならずに相手を止められるぜ、だって武器ねーし」
まさかこんなところで、武器が無いことが良い方に働くとは。ハルキもそんな妙案を得意げに言ってのけてしまうグラントに半ば呆れたが、この際手段は選んでいる場合ではないことは彼女にも分かっていた。
「くそっ、やるしかないか……絶対姿が見えたら取っちめてぶっ殺してやる」
「だがらダメなんだって」
作戦会議は終了である、二人はそれぞれ役目を全うすべく構えた。ハルキは相手の動きを把握できる様に精神を統一して。グラントはハルキの指示に直ぐに対応できるよう盾
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