第五話 天上天下唯我独(以下略)
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
レイヤーの登場である。
「……!? グラント、何か来るぞ!!」
「はぃ? な、うおぉぉっ!!??」
それは余りに一瞬だった。先程周囲のモンスターは一通り二人が狩ってしまったので、文字通りさら地と化しているそのフィールドに突然、何やら銀色の影を残す旋風が巻き起こった。
「え、何今の。今のってプレイヤー!?」
「分からない、俺も完全には目では追えなかった……!!」
って事はちょっとは見えていたハルくん。再び静かになったその荒地フィールドで、二人はそれぞれの装備を手に持ち身構えていた。
すると、またどこからか、二人の間を突っ切る様にしてその目視すらままならない何かが飛んで来た。そしてそれはそのまま、挑発する様にわざとグラントの持つ盾を掠めながら通り過ぎていく。
「ぐおっ、あぶねーなおい!! おいハルくん、今度は見えた!?」
「ああ。流石に二回見ればある程度は分かるさ。あれは……れっきとしたプレイヤーだ」
いや、普通二回見たって分からんだろ。すごいぞハルくん。だがそんなプロソードマンも、確認出来たのは何やら人型の残影と、その上に存在するプレイヤーである事を示すカーソルのみである。
だがそれよりもハルキが驚いていたのは、
「でも……あいつ、グリーンだぞ!?」
そう、もし圏外で人を襲う犯罪者プレイヤーなら、そのカーソルは当然オレンジになって然るべきである。だが今目の前を通り過ぎていった謎のプレイヤーは、どう言うわけかSAOのシステムにはオレンジプレイヤーと認識されていない様だった。
(どういう事だ……!? まさか、他のプレイヤーを攻撃してもオレンジ化しない、システム上の抜け道でもあるのか……!?)
もしそうであるならこれは一大事である、ハルキは焦った。
なぜならそれは、何千人といるこのSAOの中に閉じ込められたプレイヤーの中に、どれほど犯罪者プレイヤーがいるのかをまるで特定できなくなる恐れがある事を意味するからである。そうなっては誰も信用する事が出来なくなってしまう。軽い気持ちでパーティを組み共に戦っているプレイヤーが、実はペナルティなしで自分に危害を加えようとしている、その可能性を否定できなくなってしまうのだ。
「何にせよ、まずはあの動きを止めないとどうしようもないなぁ……どうしよっか」
少し落ち込んだ声で、グラントがぼやく。流石に彼の愛用する盾、及びそれで発動できる盾スキルではとても相手の行動を止める事は難しそうだ。
「……いや、出来ないことはないぞ、あの『はぐれきんぞ君』のやって来る軌道に割り込む事が出来れば、何とかなるかも知れないけど……ハルくん、何やってるの?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ