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SAO(シールドアート・オンライン)
第四話 なんでや! VS なんかちがう!!
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絶えず表示されていたグラントの体力は、最初から最後までまるで減少するそぶりを見せなかった。そんな事がありうるとすればそれは、キバオウのすべての攻撃を盾の中心…裏に持ち手のある、盾の部位の中で唯一耐久値がダントツに高く設定されているほんの一ピクセル分の「基部」で受け続けていたとしか推測できないのだ。
 そのような事が出来るプレイヤーなんて普通に考えたらまずいない。このグラントを除いて。そんな、基部で相手の攻撃を受け続ける程の「命中精度」なんてとても……。



 「……あ」



 DEX。
 Dexterity。
 器用さ。命中率。



 「ど、どうしたのよキリト君?」
 「どーせね、どーせあざ笑ってるんですよ、どーせ」
 「あははは……いやいや、全然そんなことないさ」


 面白い。キリトは思った。
 面白い。このグラントというプレイヤー、今は駄目でも、将来は必ず。間違いなく。


 「これからもどうぞよろしく、グラントさん。いつかまた、LA争いしようぜ」


 だから、彼はそのロングヘアー男と友達になることにした。未来のフロアボス攻略に期待を寄せながら。











 「それで、話って……なに?」


 キリト、アスナ、ハルキ、そしてグラントの四人がそれぞれ言葉を交わし、それぞれの歩むべき道――キリトとアスナは上層の街へ、ハルキとグラントはひとまずこの層の街へ――へと向かおうとしたその時、ハルキの事をアスナが突然呼び止めた。そしてあとの二人を無理矢理このボス部屋から追い出して、今に至る。
 なのでいま、このエリアにいる人間はハルキとアスナの二人だけだ。数分前までは何百人ものプレーヤーでごった返しになっていたというのに、寂しいものである。
 それでも、その話をハルキにするならば……それを誰にも聞かれないように、こうなるのを待つしかなかったのだ。


 「分かりますよね、わたしが何を言おうとしているか」



 『で……でも、ハルキさん……? あなたは……!!』


 フロアボスから助け出された直後にアスナが、ハルキと言葉を交わした、そのほんのわずかな時間。それだけでも、アスナがその事を察知するには十分な時間だった。
 それは論理的な思考によって積み上げられた説でなければ、この全てがデータ化された世界だからこそ分かるステータスでもなく。
 ただただ単純に、「女の勘」とでもいうのだろうか。


 「わたしもそうだったんです。一層にいた頃は、フードを被って、極力顔を見られないようにしていました」


 ハルキはアスナに背を向けたまま、何も話さない。しかしアスナはそのまま……最後まで、言葉を紡いだ。


 「自分が女性だって
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