第四話 なんでや! VS なんかちがう!!
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回りと、グラント君の防御と機転。この二つが今後、攻略組の戦力として役立つほどに洗練されたものである事は、僕が保証しよう。でもね」
だがリンドの方はというと、思いのほかハルキとグラントの性質を冷静に分析できていた様だった。予想よりは好感触な彼の言葉に、二人は顔を見合わせたが。
それでも、全てがハッピーエンドとはいかないようで。
「でも、攻略組に入れるのはハルキ君、君だけだ」
「……え」
唐突なその宣告に、ハルキは一瞬、固まった。
「な、なんでだよ。グラントだってデュエルに勝ったじゃないか」
「別に勝ったら攻略組に入れるとは言ってないよ。力量を測る、と言っただけだ」
慌てて詰め寄るハルキに向かって、しかしリンドは冷徹に言い放った。
「ハルキ君、君のパラメーターはまだ振っていないだけで、これから幾らでも鍛えようがある。でもグラント君はもうDEXに振ってしまっているんだ、その分彼の能力はこれから頭打ちになりかねないんだよ。
それにグラント君は、どちらかというと個人プレーの方が性に合っているようだからね」
「うっ」
自業自得なところが残念なところだ。いやまあ、あれだけやらかしたらね? さしものグラント当人もばつが悪そうな顔をしている。
「その点ハルキ君はさっきのフロアボス戦でも攻略組のプレイヤーを助けるために能動的に動いてくれた。
攻略に一番求められるものは、個人の技量以上にチームワークなんだよ。そうだろ?」
違う、そうじゃない。ハルキは思った。
チームワークが大事であるという事はハルキにだって分かる。問題なのは、グラントが攻略組の和を乱す、トラブルメーカーとして扱われているという事だ。いや大体あっているような気もするけど。
(こいつは面倒な奴ではあっても、そんな害悪な奴なんかじゃないのに)
今となってはグラントは、自分をベータテスターへの引け目から救ってくれた、大事な仲間なのだ。確かに性格上の問題か、奇行が目立つことは事実だが、それでも自分の様な新参者に一週間もの間ゲームの世界というものを一からレクチャーしてくれるくらいには思いやりがある奴だというのに。
……だが、そんな葛藤は次のグラントの言葉によって吹っ飛んでしまう事になる。
「はぁ、しょうがねーなぁ。じゃあ今回は遠慮させてもらうよ。これからもLA取りたかったんだけどなー」
そのあまりに軽い口調に拍子抜けたハルキは、
「おい、そんなあっさりと……諦めるの早いんじゃないのか!?」
「いや、だってなんか既にめっちゃ嫌われてない? それにギルド同士の対立とか居心地悪そうだし」
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