第二話 ガードホリッカーとPFGB
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ってものを知らないのだ。言うならばプロファイター・ゲームビギナー。略して「PFGB」とでもするか。
と言うより厳密には、ここをゲームとして認識していない様な印象である。テイミングスキルも餌も(そもそもこのゲームにその様な仕様があるのかはまだまだ不明だが)ないと言うのに、プレイヤーを倒す事しかプログラムされていないであろうボアとかトーラスとかを撫でに行ってしまうのだ。しかも「可愛いじゃん」とかそう言う理由で。
それだけではない。第三層から始まっている一大キャンペーンクエスト、通称「エルフクエスト」の開始時に起きたイベント戦闘では、本来戦っている二人のNPCどちらかの味方に着くことで進むシナリオになっているところを、げんなりするグラントを抑えながら三十分近くに渡って二人の仲裁をしようと声をかけ続けていたり。
だが、そんなNPC二人、通常ではとても倒せる強さではないNPC二人の間に入って二人の剣を同時に捌き続けることが出来るくらいには、ハルさんマジもんのプロソードマンなのである。
……つまり一体全体何なのかと言うと、この二人、絶妙にそのポイントは被ってはいないとはいえ、それぞれ一般プレイヤーが確実にドン引きする様な要素を持ったアウトローなプレイヤーであると言うことである。さらにたちの悪いのは、そんな自分の特徴を考える時に。
「ハルくんよりはましだろ」
「グラントよりはましだな」
……こう、思っているというところにあると言うわけなのだ。
さて、そんな下らない話をしているうちに、どうやら攻略組の先頭がフロアボスの居る大部屋前の扉に到着した様である。二人は列の先から、何やらボスの情報をのせた言葉が耳に届くのを感じたのだが。
「ぜんっぜん、聞こえなくね?」
「奇遇だなハルくん。俺もそう思っていたところよ」
これはひどい。本当にほぼ何も聞こえないのだ。いや厳密には回廊の壁中に反響した声の残響の様なものが、具体的には「〜ちゅう」「〜ねん」の様な妙な言葉が聞こえるのみである。そんな状態にハルキは少々の心配を覚えたのだが。
「……まあいいや、確かに三層のフロアボスは『ネリウス・ジ・イビルトレント』だったか、とにかくなんかでっかい木のバケモンだろ?」
「……は?」
ハルキはグラントへと振り返った。
「なんでまだ見たこともないフロアボスの事知ってんだよ?」
「ん? ああ、だって俺」
……そう、この時のグラントは、丁度攻略組でその話題が物議を醸していたその時に宝箱の中に引きこもってたこの男は、知らなかったのである。
「実は俺、ベータテスターだったんだよねん」
そのカミングアウトが、何を意味するのかを。
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