第二話 ガードホリッカーとPFGB
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全に出遅れた……あ?」
まあ確かに、よく考えたらそれは妥当なんだよね。自分よりずっと高位のボス級モンスターの攻撃を、ずっと盾で受け続けていたのだから。
「……今度は一体何なんだよ……?」
「た、盾の」
半ばうんざりしたように尋ねたハルキに目も合わせず、自分のステータスウィンドウを凝視したまま、グラントは言った。
「盾の熟練度が……350になってる」
2022年、12月21日。アインクラッド第三層迷宮区。
「森」がテーマであるらしいこの層も、迷宮区の造りは他の層と大して変わらず石畳の回廊が続いていた。そしてそこを踏破すべく行軍するのはわれらが攻略組…当然みんな大好きキリトさん達もその先頭辺りにいる。
そんなトッププレイヤー達の最後尾の少し後ろをハルキとグラントは、なるべく周りの注目を集めないように縮こまりながらついて行っていた。
「最後尾の、少し後ろ」……これ大事である。つまり二人はフロアボス攻略会議にも参加していなければ、当然他の誰にも攻略組として認知されていないのである。
「ねえ、これホントにいいのかね。せめて自己紹介ぐらいはした方が良いんじゃね?」
「いや、あんた自己紹介したら総スカン食らうだろ。武器なし盾使いなんてよ」
知り合ってから一週間、ハルキさんもなかなかグラントに対して言うようになってきていた。まあパーティーを組んであげているだけ優しいというものではあるか。
「そういうハルくんだってソードスキル結局使う気ないじゃん? そこんとこどうなのよ?」
「俺は別にソードスキルがなくたって攻撃も防御も出来るし。誰かさんみたいなガードホリックじゃないんで」
ガードホリック。
それがこの数日間パーティーを組み共に戦ったハルキの、グラントに対する印象である。
戦闘を開始するや否や相手の出方を伺い、襲い掛かってきたら回避する事なんてまず考えずに盾で受け止める。たまにパリィをして相手をノックバックさせる事はあっても、追撃する武器がないんだから全く意味がない。そうしていつまで経っても終わる事のない戦闘を繰り広げながらこの男、笑っているのである。ましてや一度に複数の敵の攻撃を捌き続けている時の恍惚とした表情なんぞ、まさにB級ホラー映画のゾンビメイクをした悪役のそれである。結局最後は、見るに耐えなくなったハルキがモンスターにトドメを刺してしまうのだが。
それではグラントはハルキに対してどの様な印象を持ったかと言えば。
「まあ確かに俺はそういうやつかも知んないけどさ。ハルくんもまだまだ、ゲームを知らないよねー」
「うっせぇ」
そう、ハルくん全然ゲーム
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