第一話 暗闇の中からコンニチワ
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筈のそのポイントに、トレジャーボックス……つまり宝箱らしきものを確認する事が出来た。それも、迷宮区でよく見かける消耗品の入った貧相な箱ではなく、銀細工が施された高級な箱である。流石に場違いなんじゃないかとハルキは苦笑するが、逆に考えればそれはつまり、その豪華さの分だけレアな品が入っているという事。
「悪いけど、ここは通させてもらうよ!」
ハルキはチャンスとばかりに体勢を崩したコボルド軍曹に肉薄し、そして手にした剣を右肩に背負い跳躍する。
すると彼の起こしたモーションによりソードスキルが発動しその剣がライトエフェクトに包まれ――――なかった。
……大事なことなのでもう一回。ライトエフェクトは発動しなかった。
「でやぁぁぁっ!!!」
そして再び斜めにコボルド軍曹の腹を斬り払う。その動きはソードスキルで言えば片手直剣基本技「スラント」そのものであるというのに、ソードスキルは発動しない。
それもそのはず、このハルキというプレイヤー、どういうわけかSAOにログインした直後に全ての武器系統のスキルを自らのステータスから削除したのである。バカかよ。何やってんだよ。
一応擁護してあげるとこのハルキという人間、リアルではその界隈ではそれなりの剣術の使い手らしい。幼い頃から達人たる父親に徹底的に鍛え上げられた結果、直近の成績としては全国大会に出場する程の腕前になったが、それでも本人は満足出来ずに日々修行に打ち込んでいたと言う程の剣術バカなのだ。
因みにその全国大会でハルキさんに勝った相手もやがて暫く後にとあるVRゲームに没頭して、持ち前の剣術を生かして暴れ回ったらしいけど、それは別の話。二期が決まったらやろうかな。
そんなハルキさん、SAOに降り立つや否や「いや、いらんでしょ、ソードスキル」なんて言ってのけたんだからこれはもう要らないのだ。いいよ好きにしろよ。
現に今、ハルキは別にソードスキルなんて使わなくても尋常じゃないパフォーマンスで、カーソル―――プレイヤーのレベルとの相対比較によって赤い程危険な敵であることを示す―――が血の様に真っ赤なコボルド軍曹を圧倒していた。一撃の威力は流石にソードスキルには劣るが、その手数は多く、加えて全ての剣戟をしっかりとコボルドに存在する急所に命中させる事でその欠点を補っていた。マジで茅場涙目である。
そしてついにコボルド軍曹のヒットポイントがレッドゾーンに差し掛かったところで……しかし。
そんなハルキですら予想だにしなかったまさかの事態が、ここに発生した。
「……あり? 誰か来てる?」
「っ!? 誰かいるのか?」
唐突に聞こえた、その呑気な声はもちろんハルキのものではなく。今まで全く人気のなかっ
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