第百十話 八神、都に来るのことその一
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第百十話 八神、都に来るのこと
張三姉妹が都に着く。するとだ。
忽ちのうちにだ。応援団が来てだ。
「天和ちゃーーーーーーん!」
「地和ちゃーーーーーーん!」
「人和ちゃーーーーーーん!」
熱い声を送る。それに応えて。
三人もだ。手を振って言う。
「皆大好きーーーーーーーーー!」
「皆の妹−−−−−−−−−!?」
「とっても可愛い」
いつもの言葉だった。それが余計にだ。
応援団を熱狂させる。そしてそこには。
于禁もいる。彼女は既に法被を着ている。そのうえでだ。
応援団達にだ。こう言うのである。
「声が小さいですの!」
「は、はい!」
「すいません!」
「愛が足りないですの!」
だからだ。怒っているのだった。
「より大きく!愛を見せるの!」
「わかりました、隊長!」
「それでは」
こうしてだった。彼等はさらにだ。
応援の声を激しくさせる。その彼等を見てだ。
楽進は難しい顔になりだ。李典に問うた。
「前から思っていたが」
「三姉妹の応援かいな」
「沙和もだ」
于禁も見てのことだった。
「何故あそこまで熱狂的になれるのだ」
「まあ楽しいからやな」
「楽しいからか」
「そや。あんたもこういうの好きやろ」
「確かに。嫌いではないが」
楽進もそのことは否定しなかった。
「だがそれでもだ」
「それでもかいな」
「あの面々の熱狂には引く」
実際に引いている。
「どうもな」
「まあええやろ。とにかくや」
「私達もか」
「そや、応援しようで」
李典は陽気に笑って楽進に話す。
「うち等もな」
「ううむ。しかし凄い熱気だな」
まだ言う彼女だった。しかしその熱気の中にだ。彼女も入ったのだった。
歌の大会がはじまろうとしていた。それについてだ。
公孫賛はだ。こう馬岱に話していた。
「私は出るのか?」
「誰?あんた」
馬岱は少しきょとんとした顔で公孫賛に問い返した。
「何回か見たことがあるけれど」
「公孫賛だ。知らないのか?」
「聞いたことないし」
馬岱はまた返す。
「だから誰よ、あんた」
「うう、またしても覚えてもらえないのか」
馬岱にもそう言われてだ。公孫賛は。
困惑した顔でそれでだった。
「私はいつもそうなるのか」
「ええと。公孫賛さんよね」
「そうだ。それで真名は白蓮だ」
「真名まで教えてくれるの」
「長い付き合いだからな」
「だから蒲公英あんた知らないけれど」
馬岱は少しきょとんとした顔のまま公孫賛に話す。
「全然よ」
「では今から覚えておいてくれ」
譲歩してだ。公孫賛は言った。
「ではな」
「そうするね。それで何なの?」
「歌だ」
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