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リュカ伝の外伝
狙った相手が悪かった
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いや、一応上司方に合わせる為に愛想笑いはする。
この世で敵に回してはいけないナンバー1とナンバー2を敵に回した報いだろう。

「ところでさぁ……お前、本名何?」
散々笑った天才宰相閣下が、今更の質問を投げかける。
確かに……お二人の非常識ぶりに、そこへ気が回らなかった。

「お、俺の名は首刈りマスター! 本名など生まれた時から無い」
「え〜……君、本名無いの!? 不便じゃん」
本心かどうか解らないが、リュカ様が同情する。本心な訳無いか。

「じゃぁ名前付けてあげるね。う〜ん……首刈りマスターってダサく呼ばれてるんでしょ。じゃぁ格好良く『クサ○リ・マサオ』! うん、これからはマサオ君って呼ぶよ」
「あははははっ! 首刈りだって言ってんのに、何でクサカ○になるんだよ!(大爆笑)」

腕に変な入れ墨を彫られ、勝手に変な名前を付けられ、この男も涙が止まらない様子だが、違う意味で天才宰相閣下の涙も止まらない様子だ。
多分明日、腹筋が筋肉痛になってるだろう。

「クソッ! ふざけやがって!!」
「え〜……わりと真面目なんだけどぉ」
「あははははははっ……あ゛〜お腹痛い!! もうこれ以上笑わせないで!」

広い地下牢内には天才宰相閣下の大きな笑い声が響き渡る。
牢屋の中でも一番奥を選んでおいて良かった。
入り口付近だと地上階にまで笑い声が響いて、人々の安眠を妨害してただろう。

「く、くそ〜……お、おい教えろ!」
「ん……なにを? パンツの色?」
何で下着の色が話題に出るんだ!?

「そんなことじゃない! 俺は……何時(いつ)しくじった? この二ヶ月間……俺は気配を殺し、チャンスを覗っていた。そしてそれは完璧だった……貴様は一度も俺に注目しなかった。存在に気付いてもいなかったんだ! 貴様はどのタイミングで俺を怪しんだ!? 教えろ……処刑の前に教えろ!!」

「最初からに決まってんだろ(薄笑) 二ヶ月前に姿を現した時から、お前のことは怪しいと気付いていたさ! 顔が犯罪者だったからね」
「さ、最初からだと!? ウ、ウソだ!! 俺は完璧に気配を消しきってた。実行のタイミングまで武器すらも持たず、一般人に同化してた! 貴様は一度も気付いた素振りを見せなかったじゃないか!?」

「気付いた素振りを見せたら、お前は逃げ出してただろ? 罠にかかったフリをしてやるのも、結構大変なんだぞ」
「そ、そんな……お、俺の能力(ちから)は……完璧だった……はず……」

「でもさぁリュカさん。今回は怪しんで正解だったけど、顔が犯罪者ってだけで全くの無関係者を殴ってたかも知れないんですよね? 間違ってたら如何(どう)するんですか?」
確かにその通りだ。リュカ様に間違いは無い……と言いたいが、100%なんてことはあり得ない
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