第三百三十九話 帰り道その十二
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「あんなことしないよ、というかそういうこと言っても」
「地動説とか進化論とか」
「あっさり受け入れられるし」
「否定してもなのね」
「火炙りだのにならないから」
それこそだ。
「平和だしね」
「科学も受け入れているのね」
「というか科学は万能でないし」
この世に万能なものなんて何もない、科学も然りだ。
「そこから全部を語ることも出来ないし」
「科学が神様仏様を否定するかっていうと」
「それも違うよ、世の中を知れば」
科学を学ぶことからもだ。
「余計に神様を知るっていうのは」
「その通りね」
「そうだと思うよ」
僕としてはだ。
「実際にね」
「そうなのね」
「それとね」
僕はさらに話した。
「今の科学が全部じゃないし」
「今の」
「科学も進歩し続けているんだ」
正直その果てなんてわからない、今の時点でも充分凄いと思うけれどだ。
「今の科学が全てか」
「そんな筈ないのね」
「今の科学が完璧と思って何でも語ってもね」
それでもだ。
「間違えるしね」
「科学を万能と思っても違うのね」
「科学も神様じゃないからね」
神様を否定して科学を絶対視して神格化するとしたら矛盾している、そうしたことが出来るのは人間自体が矛盾した存在だからだろうか。
「だからね」
「万能じゃないわね」
「今の科学なんてもうね」
「言うまでもないわね」
「これまでの定説も」
科学におけるそれもだ。
「覆させることもよくあるし」
「今の科学で全てを語ることも駄目ね」
「間違いの元だよ」
これはこれでだ。
「それはそれで」
「それで今の科学で以て神様はいないと言っても」
「それは逆にね」
それこそだと思う。
「非科学的だよ」
「逆にそうなるのね」
「わからないものはわからない」
その様にだ。
「はっきり言うのがね」
「科学的ね」
「本当の意味でそうだと思うよ」
僕としてはだ。
「むしろね」
「宗教を否定しないことね」
「無闇にね」
科学を出してだ。
「科学でも本当にね」
「万能じゃないわね」
「この世に万能なものなんてないよ」
このことは確かに言える。
「だから科学もね」
「万能じゃなくて」
「そしてね」
そのうえでだ。
「物事を考えていくべきだよ」
「宗教のことも」
「そちらもね」
こうした話をしながらだった、僕達は八条荘に戻っていった。大晦日からの二人のデートもいよいよ終わりに近付いていた。
第三百三十九話 完
2021・7・8
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