暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第102話:憂さ晴らし
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と、今まで誰も指摘してこなかった事実を目の前に突き付けられ、ウェル博士は反論すべき言葉が思い浮かんでこなかった。

 押し黙ったウェル博士を前に、これ以上は何も言う必要は無いと颯人は奏からウェル博士の頭を受け取り、押し込んで元に戻した。

 首を元通りにされ、その場にへたり込むウェル博士に弦十郎と慎二が近付いていく。
 尚その際、2人は愉快な事になっている彼の顔に一瞬噴き出すのを堪えなければならなかった。

「ウェル博士、年貢の納め時だ」
「大人しくしてください」

 いつの間にか傍に来ていた2人にウェル博士は一瞬目を見開くが、意外なほど大人しく捕縛された。頭の中では颯人の言葉に対する反論をどうするかで一杯で、逃げる事など考え付きもしなかったのだ。

「――――殺せ、僕を殺してくれ。英雄として僕を殺してくれぇ……」

 悩んだ末にウェル博士は死を望んだ。死んで後世に名を残せば、それで自分は英雄になれると言う半ば自暴自棄な逃げの結論であった。

「殺しはしない。お前は人として裁く!」

 しかしそれを許す弦十郎ではなかった。死んで逃げるなど許さないし、無為に命を奪うような事を彼は良しとしない。悪党であっても、失われていい命など存在しないのだから。

 最後の望みも絶たれ、抜け殻の様になりながらブツブツと呟き引き摺られるように連れ出されるウェル博士。

 だが――――――

「困るねぇ、彼に今退場されては。折角まだまだ面白くなると言うのに」
「ッ!? 貴様はッ!!」

 突然聞こえてきた声に弦十郎と慎二が振り向くと、そこには漆黒のローブを身に纏ったワイズマンが佇んでいた。
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