暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第102話:憂さ晴らし
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今まで散々好き勝手してきたくせに」

 あまりの屈辱に半べそをかくウェル博士に奏がデコピンを喰らわせる。

 さて、いい加減そろそろお仕置きも十分だろう。ここからはお説教の時間だ。

「なぁウェル博士よぉ? あんたこんな事して本当に英雄になれると思ってんの?」

 唐突な颯人の言葉に、しかし英雄と言う言葉に火が付いたのか目に光が再び灯る。

「当然です! 今まで誰も為し得なかった事をやり遂げる! これを英雄と言わずして何としますか!」
「ま、確かに全部があんたの思い通りに行けば、取り合えずあんたは英雄言われるだろうよ。ただし、上っ面だけだがね」
「何ぃっ?」

 上っ面だけの英雄と言う言葉にプライドが刺激されたのか、ウェル博士が颯人を睨む。だが顔が愉快な事になっているので正直迫力は全くない。

「だってそうだろ? アルドから聞いたよ。アンタ、ただその場に居合わせただけの無関係な子供まで手に掛けようとしたそうじゃないか。そんな奴が天下取って、心から英雄って言われると思ってるの?」
「当然です! これから僕がやる事は曲がりなりにも人類の救済ですよ? 人類を救った僕を、英雄と認めずして何としますか!?」
「あぁ、確かに英雄とは呼ばれるだろうよ。ただし、心の中でどう思うかは分からんけどね」

 つまるところウェル博士が作り出そうとしているのは自分を英雄と言う名の頂点に置いた独裁世界だ。だから仮に事を成し遂げた暁には、彼が人々に英雄と称えよと言えば人々はそれに従うだろう。
 従わなければ自分の命が危険に晒されるのだから。

「アンタそれで良いの? 心の中でビビられたり場合によっては陰口叩かれながら、ご機嫌取りに英雄扱いされるだけで満足なの?」
「ぬ、く……」
「まぁそれでも良いって言うんなら別に構わねえよ。俺らが全力で止めるだけだから。ただもう一つ言わせてもらうんなら、世の中で英雄って呼ばれる連中の中で、英雄になりたかった奴は1人も居ないんじゃないかな」

 本当は颯人の言葉にもっと反論したかったウェル博士だが、またしても先程のクリスの言葉と透の行動が脳裏を過り言葉を詰まらせた。

 あの時、透はウェル博士が感謝してくれるなんてこれっぽっちも思っていなかった筈だ。それどころか、恩を仇で返される覚悟すらしていただろう。
 しかし透は、そんな危険を冒してでもウェル博士を助けた。それは偏に、彼が助けたかったからだ。例え敵や悪人であろうとも、先ずは助ける。それが、北上 透と言う男だった。

 きっとクリスの言葉と透の行動が無ければ、颯人の言葉がここまで響く事も無かっただろう。また、颯人にここまで言われなければ、最終的に透の行動を鼻で笑っていたかもしれない。

 しかし今、認めざるを得ない程英雄的な行動をする透
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