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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第102話:憂さ晴らし
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鏡を素手で触らないで!? 指紋!? 指紋で見え辛くなるから!?」

 ウェル博士の眼鏡を素手でこれでもかと触りまくる。指先の皮脂が眼鏡に付着し、歪な模様を描きながらウェル博士の視界が歪む。

「くぁぁぁぁぁっ!? 眼鏡を拭きたいのに拭けないぃぃぃっ!?」
「はっはっはっ! 颯人、ポテチかなんかない? ちょっと小腹空いてきた」
「待って待って待って!? それは止めてお願いだから!?」

 ただでさえ皮脂で曇った眼鏡に、ポテチなどのスナック菓子を食べた手が加わればもう眼鏡からの視界は絶望的だ。子供の悪戯レベルとは言え、やられる側は堪ったものではない。

「あ〜悪い。流石にポテチはねえなぁ。でも代わりに……」

 流石に走行中にポテチなんて取り出せば、風圧で吹き飛ばされてしまうのは目に見えていた。だからポテチは出さないが、代わりに颯人は奏にある物を渡す。
 少し太めの黒いマジックペン。それを渡され、奏は目を輝かせた。

「おぉ! 颯人これって?」
「モチ、油性だ」
「最高。さて、へっへっへっ!」

 奏はキャップを口で咥えて外すと、ペン先をウェル博士の顔に近付けた。これから自分に待つ運命を前に、ウェル博士は恥も外聞も投げ捨てて叫んだ。

「わぁぁぁぁっ!? 待って待って待ってください!? それはいけませんって流石に!? これは人の道に外れすぎてます!? 考え直しましょう!?」
「お前が言うな」
「諦めろ」

 懇願されても奏に止める気はなく、また颯人にも止める気はない。

 そして遂に奏の持つマジックペンのペン先がウェル博士の顔に触れた。そこからは奏の独壇場だった。とにかく時間が許す限り、ウェル博士の顔をキャンバスにマジックペンを走らせる。

 額への肉の字は当然として、目の周りを黒く塗り頬には渦巻き模様。鼻の下にはドジョウ髭を書き、眉毛は繋げられた。

 因みにその頃、首から下はどうしているかと言うと――――――




「……どう思う、緒方?」
「十中八九……颯人君だと思います」

 追いついた弦十郎と慎二の前で、首から下だけになったウェル博士が無駄な抵抗と分かりつつ体を暴れさせていた。首無しの体が必死に暴れる様はとてもシュールで、アレを取り押さえようと言う気には流石になれなかった。




「ふぅ〜、完成。どうだ、颯人?」

 思う存分ウェル博士の顔に悪戯書きをした奏は、やり切ったと言う顔で颯人に出来栄えを見せた。横から見せられた非常に愉快な顔になったウェル博士の頭に、颯人も堪らず噴き出した。

「ぶはっ! 最高傑作じゃん。このまま額に入れて飾りたい程だ」
「我ながらいい出来になったと思う」
「こ、こんな……こんな事して何が楽しいんですか」
「お前が言うな。
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