暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第102話:憂さ晴らし
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ーシャ教授の仇と思えばそんな事どうでもよく。気を取り直すとアームドギアの切っ先をウェル博士に向けた。

「殺すッ!」
「ひゃぁぁぁぁぁぁっ!?」

 流石にこれが本気だと分かり、ウェル博士は情けない悲鳴を上げて腰を抜かした。

 もうマリアを止める者は誰もいない。このままマリアの槍がウェル博士を貫き、その手を地に染めると思われた。

 その時、響がマリアとウェル博士の間に割って入った。

「ダメッ!」
「そこを退け、融合症例第一号ッ!」
「違う! わたしは立花 響、16歳! 融合症例なんかじゃない! ただの立花 響が、マリアさんとお話ししたくてここに来てるッ!!」
「お前と話す必要はない! マムがこの男に殺されたのだ! ならば私もこいつを殺すッ! 世界を守れないのなら……私も生きる意味はないッ!」

 心の支えであったセレナも、陰から支えてくれていたガルドももう居ない。居ないと思ってしまったマリアにとって、踏み止まる理由は最早無かった。歯止めが利かなくなった彼女は、既に自分の命も他人の命も諦めるところまで追い詰められていた。

 そんな彼女の槍の穂先を、響が素手で掴んだ。

「ッ!? お前ッ!?」
「意味なんて後から探せばいいじゃないですか」

 穂先を掴んだ掌が裂け、流れた血がアームドギアを伝っていく。だというのに、響の顔に浮かんでいるのは笑みであった。

 生来の優しさから、響はマリアが自分の命を投げ出していることに気付いた。

 そんな彼女に、響はとある魔法使いから始まり伝えられてきたあの言葉を送った。

 絶望に沈みそうになった心に希望を灯す、魔法の言葉……それは――――

「だから……生きるのを諦めないでッ! Balwisyall nescell gungnir……trooooooooon!!」
「聖詠!? 何のつもりで!?」

 突然聖詠を口にした響に、マリアは困惑した。最早海上での戦いの顛末はマリアも見ていた。神獣鏡により、響がシンフォギアを失った事も知っている。そんな彼女が、今更聖詠を口にして何になるのかと。

 だが響の胸の歌が響き渡った時、まるでそれに反応したかのようにマリアと響が掴んでいた槍が輝き消え去った。

 いや、槍だけではない。消えたのはマリアが纏うギアもだった。

「きゃあッ!?」

 輝きを放ちギアが消える。全く訳が分からない事態に困惑し悲鳴を上げるマリアの前で、ギアは輝く粒子となってブリッジと中央遺跡全体を包み込んだ。




 その様子を、颯人と奏も遠くから見ていた。マシンウィンガーに乗り、中央遺跡に向かう2人にも中央遺跡から立ち上る光はよく見えていた。

「お〜お〜、ありゃもしかしなくても響ちゃんかな? 相変わらずやる事が
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