第15話 姉上と正宗
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るわね。じゃあ、最後に教えてくれるかしら。正宗は旅で、何を見たいのかしら?」
私の言葉が年相応とは思えないと言った後、私を見据えていいました。
「民の生活と地方での役人の姿を見てみたいと思っています」
「なぜ?」
「民の生活は飢饉や天災などで、窮乏しています。それにも関わらず重税を課し私腹を肥やす汚職役人がいます。私は彼らのことを目に焼き付けて置きたいのです。私は将来必ず、偉くなってみせます。そして、弱い立場の人々が安寧な生活が送れる世を作りたいと思っています」
「ふふっ、英雄願望というやつかしら。正宗、確かにあなたの言う通りよ。漢臣である私が口にしてはいけないことだろうけどね。今の宮中は売官と賄賂がはびこっているわ。それに、宦官の専横は見るに耐えないわ」
私を見つめる姉上は頬を綻ばせて優しい笑みを見せていました。
「頭は良いと思っていたけど、想いは子供なのね。少し安心したわ。そうね、正宗は一度旅にでるのも良いと思うわ」
姉上は自分の中で、納得したようでした。
「それにしても袁紹殿には驚いたわね。袁紹殿、気を悪くされないでね。噂であなたが暗愚な人物と耳にしていたので、そんな人物と関わっている弟のことが心配だったの。でも、実際、袁紹殿に会ってそんな印象が全くなかったわ。本当にごめんなさい」
姉上は麗羽の方を見やると、頭を下げて謝っていました。
「正宗様のお姉様っ!頭をお上げくださいまし。以前の私は暗愚と言われても仕方なかったと思っていますもの」
麗羽は姉上が頭を下げてきたことに恐縮しているようでした。
「それでは私の気が済まないわ。あまり高い物は無理だけど、何か欲しいものはない?」
姉上は麗羽の家が金持ちなので、金銭感覚がズレていると思って、値段の高い物は無理と予防線を引いていました。
「できれば、真名の交換をお願いできませんでしょうか?正宗様のお姉様と仲良くなりたいと思っています。よろしいでしょうか?」
「真名の交換?そうね。正宗とも仲が良いみたいだし・・・、それに袁紹殿は噂とは全然違っていたようだし。良いわよ。私は劉岱、字は公山、真名は燐よ」
姉上は麗羽との真名交換
「私は袁紹、字は本初、真名は麗羽です。それと正宗様のお姉様には、殿ではなく呼び捨てで呼んでいただきたいです。私は燐お姉様と呼ばせていただいてもよろしいですか?」
「燐お姉様・・・。何か妹ができた気分ね。いいわよ、じゃあ麗羽、これからよろしくね」
「はい、燐お姉様、こちらこそよろしくですわ」
姉上と麗羽は和んでいました。
「まあ、一件落着じゃな。よかった、よかった」
お爺々様は姉上と麗羽が仲良くなったのを喜んでいました。
「正宗、旅に行くこと自体に文句は
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