暁 〜小説投稿サイト〜
伴装者番外編
戦いの合間に……(IFセレナバースデー2021)
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んと謝るんですよね?」
「え、ええ……。でも、セレナが先に入ってくれない……?その……気まずいから……」
「も〜、仕方ないですね」

言いよどみながら目をそらすマリアに、セレナは肩を竦めながら先を行く。

セレナが食堂の入り口に立つと、自動ドアが左右にスライドし……

その瞬間、周囲の照明が一斉に落ちた。

「ッ!?停電……!?」

驚くセレナ。左右を見回すが、真っ暗で何も見ることが出来ない。

「姉さんッ!そこにいますか!いったい何が……」

マリアがいた背後を振り返ろうとしたその時──パンッ!と連続した軽い破裂音と共に、照明が一斉に点灯する。

「「セレナッ!」」
『副隊長ッ!』

『ハッピーバースデー!!』

「……えっ!?」

驚くセレナ。その顔を逃すまいと、ナツミはシャッターを切った。

「パーティープロトコル、大成功ね!」
「えっと、姉さん……これはいったい?」

困惑して目を白黒させるセレナに、マリアとツェルトは笑いながらタネを明かす。

「セレナ、忙しくて誕生日忘れてただろ?」
「だからサプライズしようって、ツェルトが企画したの」
「マリア、名女優だったぞ!」
「って事は、報告会前の喧嘩とか、気まずいから謝りたいってのは……?」
「まあ、あの時のは演技じゃないけどね……」
「会場の飾り付けするのに、身長が足りなかったんだ。大目に見てくれよ」
「しょうがないわね……今回だけよ?」

悪戯っ子の笑みと共にこちらを見上げる姉と義兄。
そして、入念に準備を重ねた完璧なサプライズ。

セレナは思わず、二人を抱きしめていた。

「ちょわっ!?セレナ!?」
「ちょっと!?いきなりどうしたのよ!?」
「マリア姉さん、ツェルト義兄さん!私……今、とっっっっっても嬉しいですッ!!」

大きな身体でぎゅう〜っと抱きしめてくる妹に、マリアとツェルトは顔を見合せクスッと微笑む。

そして、セレナの頭を撫でて囁いた。

「当然よ。可愛い妹なんだもの」
「いつも小さくなった俺達の分まで、苦労させてるからな。今日くらい、いつもの2倍は甘えてくれよ」
「はいッ!今日はい〜〜〜っぱい、甘えさせてくださいねっ!」

こうして、平行世界を渡る艦の中で、賑やかなパーティーが始まった。

別世界のマリアとツェルト、セレナもまた、あの世界で戦っている3人と同じように、大切な家族と共に幸せな誕生日を送るのだった。
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