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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
恋篝 T
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ながら、アリアは椅子の背もたれに寄りかかる。彼女の下がった眦が、いつにも増して嬉しそうな、そんな気がした。「なかなか外には行かないもんね」と自分も話を続ける。
「……そういえばアタシたち、そんなに外食とかしないのね。休みの日にショッピングとかは行くけど、結局はほら、ご飯って彩斗か白雪が作ってくれるじゃない。だから新鮮なのかも」
「ふぅん。それなら月に1回くらいは外食にでも行こうか。2人きりでも、皆とでもさ」
「そうね、楽しみにしてるっ。今はちょっと忙しいけど、それが終われば行きたいわね」
「うん。……アリアのおすすめとか、行ってみたいなぁ。どういう雰囲気なんだろうね」
そんな他愛のない、いつも通りの会話だけを快活に交わしながら、花火が見えるという例の午後8時が近付いてくるまで、自分と彼女とはレストランの照明の下に爛々として降られていた。それから部屋に戻ったのは、花火が打ち上がるらしい丁度5分前で、無邪気な子供みたく奔放にはしゃいでいるアリアを見ていると、何だかこちらまで童心に帰ったような心持ちになってくる。
「ほら、もう時間になるでしょっ! 早く早くっ」
「はいはい、そんなに焦らなくてもいいよ」
部屋の扉を開けるが早いか履き物を適当に脱いでしまったアリアは、その乱れた履き物とやらを整理している自分の心境もつゆ知らず、やはり我儘な子供らしく背中に要求を投げかけてくる。それからいよいよ彼女の方に向き直ると、とうにアリアは最初の時みたく窓辺の椅子に腰掛けていて、「ほら、彩斗も座るの」とでも言うかのように、無言で対面の椅子を指さしていた。「仰せのままに」──と従順気取りで座ってみると、やや満足気な様子でアリアは頷いている。
「あのね、女の子は雰囲気が大事なロマンティストなの。ドラマとか映画でもあるでしょ? 別にBGMを流せとは言わないけど、ほら、こういう──雰囲気、とか、ね? ……あるでしょ?」
「自分から言い出しておいて、いざ恥ずかしがるなんて変なものだね。お得意の弁舌に万丈の気を吐き始めたと思ったら、どうして歯切れが悪くなるんだい。言いたいことは分かったけど」
組んだ両の手を揉みながら、アリアはやや俯き気味にして黙りこくっていた。照明に燦々と照らされた彼女の面持ちがよく見える。ほとんど乾ききった艶やかな髪の毛とか、羞色を帯びて紅潮した頬とか、彷徨する赤紫色の瞳とか、指先で天鵞絨のカーテンを摘む仕草だとか──彼女が見せている態度の全てが、これ以上ないほどにいじらしくて愛らしい、とても直視してはいられないほどに、可憐なものに思えた。そうしてその通り、窓硝子の向こうをふいと見たくなった。
煌煌としたイルミネーションが、ウォルトランドのあちらこちらに散りばめられている。幻想的──と言えば、幻想的
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