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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
恋篝 T
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待ってないけどね」
はにかむ彼女の返事に「へぇ」と相槌を打ってから、「もしかして帯が締められなかったの?」と訊ねてみる。どうやら図星だったらしく、アリアは「うん。おばあちゃんが手伝ってくれたのよ」と笑った。「ほら、これ。……どう? 可愛いでしょ? リボン結びにしてくれたんだ」
そう言って彼女は嬉しそうに目を細めながら、綺麗に結ばれた帯を自慢げに見せてくれた。
「本当だ、よく似合ってる。可愛いね」
「えへへ、そうでしょ? 着付けもバッチリできたし、次はディナーねっ」
「うん、それなら早く行こう。お腹が空いちゃって」
「そうね、アタシもちょっと食べたい気分」
もと着ていた2人ぶんの衣服を《境界》で部屋に置いてから、裾を踏まないように慎重に歩くアリアと歩調を合わせつつ、自分と彼女とは、やや混雑し始めてきたバイキング形式のレストランへと向かっていった。始めはお互いに好きなメニューを皿に乗せていたのだけれども、アリアは大好物のももまんを見つけるや否や、一気に10個ほど我が物顔で取り始める──それが何だか愛らしくて、思わず笑ってしまったのは失態だったらしい。「何よ」と訝しげにこちらを見上げながら零した彼女に、自分は微笑しいしい無言で首を振る。
「……気になる。別に言ってくれたっていいじゃない」
「だって君、素直に理由を言ったら怒るでしょう」
「じゃあ、怒らないから言ってみてよ。ほら、なんで?」
煌々とする照明に降られながら、アリアは赤紫色の瞳を見開いてそう訊ねた。食事用のテーブルを挟んで向かいの席にいる彼女を一瞥しいしい、用意の済ませた食器を卓上に置いて、自分は腰を下ろす。アリアも合わせて座ったものの、やはり視線は凝然として、こちらを見詰めていた。彼女の食器には、やはり文字通りに山積みにされたももまんが、ひときわ異彩を放っている。
「別に大したことじゃないよ」
「それなら言ったって構わないじゃない」
「嫌だよ、恥ずかしいもん」
「むぅ……気になる。なによ、怒るとか恥ずかしいとか」
わざとらしく不貞腐れるアリアを前にして、自分は今一度だけ微笑した。それから「いただきます」と手を合わせて、箸を持つ。彼女も渋々──というか食欲には抗えないらしく、真っ先にももまんに手を伸ばしては口に運んでいった。少し見ていると、1個なんてすぐに食べ終わってしまう。この小さな身体のどこに、あれだけ収まるのかしら……と最初の頃は唖然としていたけれど、日を経るごとに改めて見てみると、やはり動作が小動物めいた感じで、どこか可愛らしい。そんなことを考えながら箸を進めていたら、2人ともあっという間に食べ終えてしまった。
「あー、美味しかったっ。ふふ、たまには良いわね。こういうのも」
そう声を弾ませ
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