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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
恋篝 T
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、そう供述したのもやはり、他ならぬ彼女自身だった。
「それより、理子の司法取引はどんな具合なの?」
「……えっと、前にも言ったけど、供述は有望すぎるくらい十二分の収穫ね。書類とか手続きも一通り作成が済んだから、もう明日には釈放されるみたい。普段の生活に戻るって」
「なるほどね。その書類はこっちに送られてくるのかな」
「そうね、そろそろ届く頃だと思う。明日には読めるんじゃない?」
明日、なら──
恰
(
あたか
)
も
好
(
よ
)
し。これを利用しない手は無いだろう。そう思い思い、「そっか」と返事する。すると次第に、話題性に影響されていた心境もやや落ち着いてきたらしい。余裕のある態度で壁掛け時計を一瞥してみると、話しているうちに時刻は6時も半ばに差し掛かっていた。アリアもそれに気が付いたらしく、「あっ」と声を上げるなり、矢庭に椅子から立ち上がる。微細な髪の毛の一筋一筋までを靡かせながら、同時に、あの梔子のような香りも芳香させていた。
「ねぇ、そろそろ温泉でも入らない? アタシ、久々の温泉だから楽しみにしてたんだ」
「うん、行こう。ちょうど言おうかと思ってたところでさ」
「ふふっ、やった。じゃあ早く──もう、立つのが遅い!」
「……まったく。はしゃぎすぎだよ、君」
服の裾を掴んでまで立たせようとしてくる彼女の態度に、自分は思わず苦笑した。──けれども、その無邪気な調子と快活な態度、或いは屈託のない笑みに、やはり安堵している。子供さながらに悪戯心の見え隠れしているような笑顔が、アリアには似合いすぎる以上に似合っていた。
「別に長風呂でも構わないからね。楽しむだけ楽しんでおいて」そんなような話をしながら、自分たち二人は部屋から持ち出した浴衣を抱えつつ、大浴場に向かっていく。駆け足で女湯の脱衣場に入っていったアリアのご機嫌な後ろ姿を見送ってから、こちらも足早に男湯の方へと進んでいった。そうして、かれこれ30分と少しは温泉にくつろいでいたろうか。頃合いを見て入浴を済ますと、彼女を待たすのは不躾だろうと思い思い、手早く浴衣に袖を通してから帯を締めた。
アリアがお風呂から出てくるのは、あと10分後ほどかしら──などと考えながら、自分はもと着ていた衣服を手に男湯と書かれた暖簾をくぐる。けれど、そこによく見知った少女の姿があるなどということは、あまり予想もしていなかった。思わず「あれっ」と頓狂な声が洩れる。彼女は寄りかかっていた壁から離れると、自分と視線が合うなり小さく手を振って笑みを零した。
「アリア、出てくるの早いね。もっとゆっくりしてても良かったのに」
「まぁ、ね。待たせちゃ悪いかなぁって思っただけ」
「別に、そんな……。どれだけ待った?」
「5分くらいかな。浴衣を着るのに時間かかっちゃったから、そんなに
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