第十九話 初詣その十
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再びそれを見てだ。また言うのだった。
「最後に希望があるね」
「このおみくじはそう教えてくれてるんだよ」
「じゃあ。喜んでね」
「この結果受けよう」
二人で笑顔で話す。そしておみくじを木の枝に括ってからだ。鈴が三人に言ってきた。
「じゃあ。後は」
「はい、どうしましょうか」
「まだ出店は多いしそれに」
「それにとは?」
「お化け屋敷があったじゃない」
そうした出店も出ていたのだ。元旦の住吉には。
鈴は真人に応えながらだ。そうしてさらに話していくのだった。
「それに何かの見世物小屋もね」
「ああ、あの二つですか」
「うん。どっちか行かない?」
「あの二つのお店は元旦の住吉には絶対に出て来るんですよ」
希望は笑顔でこのことから話した。
「それでお化け屋敷ですが」
「あそこどんな感じなの?」
「怖いんですよ、それが」
そうだとだ。ここでは困った顔で話す真人だった。
「普通のお化け屋敷よりも」
「えっ、そうなの」
「はい。噂では奈良にあやめ池遊園地がありましたが」
今はない。近鉄グループはあやめ池も伏見桃山城近鉄劇場も球団も潰してしまった。もうこのグループに残っているものは不良債権しかない。
「そこのお化け屋敷は凄かったそうですね」
「そんなに怖かったの」
「そうらしいです。僕はあやめ池自体に行ったことがないので知りませんが」
だがそれでもだ。話で聞くとだというのだ。
「かなりのものだったそうですね」
「そうだったの。それで」
「あの住吉のお化け屋敷も」
出店のそれもだというのだ。
「かなりのものですね」
「そうなの。そんなに怖いの」
「一度見たら中々忘れられない位に」
そこまでだというのだ。
「怖いですよ」
「ううん、そうなの」
「それでもいいというのなら」
覚悟をだ。鈴に求めての言葉だった。
「ご一緒しましょうか」
「そこまで言うと何か引くわね」
鈴は真人の強い説明に苦笑いになって返した。
「ちょっとね」
「はい、では」
「ちょっと止めておきましょうか。それよりもね」
「隣の見世物小屋に行かれますか?」
「けれど出店のああしたお店って」
「絶対にです」
「そうよね。作りものよね」
鰐人間や蟹人間といってもだ。その実態はだというのだ。
「そういうものよね」
「そうです。それを楽しむものですから」
「ううん。それじゃあ」
どうしようかとだ。真剣な顔で言う鈴だった。
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