第三百三十八話 教会の人達その十
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「やっぱりお腹の中にいる時から一緒だから」
「それで、ですね」
「自分の子供だってね」
このことがというのだ。
「そっくりな人がいても」
「わかりますか」
「それが親だよ」
香織さんにも僕にも笑って話してくれた。
「そしてそのことはね」
「私達も親になればですか」
「わかるよ」
その時にというのだ。
「そうなるよ」
「そうですか」
「まあその時だよ」
わかるのはというのだ。
「結婚して子供が生まれてね」
「それからですか」
「ずっと一緒にいて育てていって」
それでというのだ。
「わかるよ、この娘にはこの娘だけのことがあるから」
「それを身てですか」
「わかるよ、実は喋り方とか仕草が違うんだ」
そうしたものがというのだ。
「これがね」
「それでわかりますか」
「外見も声もそっくりだけれど」
このことは事実でもというのだ。
「やっぱりね」
「見分けがつくんですね」
「そうなんだ」
それはというのだ。
「本当にね」
「そうですか」
「私も見分けつかないかもってなる時あるのに」
また娘さんがお話してくれた。
「けれどね」
「ご両親はですね」
「わかるの」
そうだというのだ。
「私達が子供の頃から」
「それで今もですね」
「そうなの」
「ううん、私も結婚してですね」
香織さんは自分のことに考えを寄せた、そうしてそのうえで娘さんに対して考える顔になって言った。
「子供が出来たらですね」
「私もね」
「わかる様になるんですね」
「それが親らしいから」
だからだというのだ。
「今お父さんが言ってる通りに」
「親って不思議ですね」
「ずっと一緒にいてもね」
「そっくりな人がいてもわかるって」
「凄いわね」
「そうですね」
僕もここで言った。
「雰囲気とか仕草だけだと」
「わかりにくいわね」
「はい」
娘さんに答えた。
「どうしても」
「私とあの娘が同じ服で並んでたらわからないでしょ」
「全く」
正直に答えた、お二人を知っているだけに。
「それは」
「それで隠し芸もするし」
「そっくりさんとしてですか」
「二人でね。あの娘も天理教の信者さんだし」
このこともあってというのだ。
「大教会とかでね」
「お二人で」
「隠し芸することもね」
「あるんですか」
「漫才とかね」
僕に笑って話した。
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