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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百三十八話 教会の人達その六

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「それでちゃんと学んだ後で」
「教会を継いでもらうんですね」
「お婿さんに来てもらった人とね」
「そうですか」
「そう考えているから」
 だからだというのだ。
「まだまだ余裕があるけれど」
「それでもすか」
「奥手過ぎるからね」
 それでというのだ。
「僕もね」
「心配ですか」
「あまりにも恋愛のことに疎いから」
「そういえば」
 僕はここでまたあの親父のことを思い出した、どうも親父のことは何かあるとすぐに思い出してしまう。
「親父も娘さんのことを」
「言っていたんだね、止君も」
「はい、恋愛経験があればもっといいって」
「また止君はあり過ぎるけれどね」
 教会長さんは親父のことは笑って言った。
「そうしたことについては」
「それはそうですね」
 僕も笑って肯定した。
「あの親父は」
「僕が知ってる限り中学生の時からだからね」
「何か小学生からみたいですよ」
 小学生といっても六年生だけれどだ、一年生と六年生では全く違う。
「親父が言うには」
「余計に凄いね、しかし止君が言うこともね」
「それもですか」
「もっともだね」
「そうですか」
「下の娘二人もそうだけれど」 
 やっぱり恋愛経験がないというのだ。
「特にね」
「あの人はですね」
「そうだからね」
「教会長さんもですか」
「心配だよ」
 そうだというのだ。
「浮気は駄目だけれど大学生になったし」
「恋愛もですか」
「折角そうした子もいるし」
 アタックする人もというのだ。
「尚更だよ」
「恋愛を経験されて」
「そちらも知って欲しいよ」
「何か」
 ここで香織さんも言った。
「随分真面目な人みたいですね」
「真面目も真面目だよ」
 教会長さんは香織さんにも温和に答えた。
「凄くね」
「そうなんですね」
「冗談は通じるけれどまっすぐしかないんだ」
「変化球はないですか」
「横道を逸れたりね」 
 そうしたことはというのだ。
「遊びにも疎いし」
「そうした人ですか、やっぱり」
「だから恋愛も結婚する人としかっていうし」
「そうした人とだけですか」
「そう言っていてね」
「これまで、ですか」
「なかったから」
 それでというのだ。
「もうちょっとね、世の中を知って欲しいよ」
「世の中はまっすぐだけじゃないんですね」
「そして横道もね」
 これもというのだ。
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