第十九話 初詣その八
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「それでもね。その為に動くことはね」
「そうしないと最悪の事態に対処できませんから」
「それは決して悪いことではないから」
「じゃあそうした時にはね」
そうした話もだ。新年のたいこ橋の上でしてそのうえで。
四人でまずは神社の中心に向かいそこでだった。
まずはお賽銭を払いお願いをした。四人でそれをしてから。
千春は希望に顔を向けて彼に尋ねた。その尋ねたこととは。
「何をお願いしたの?」
「わかってるんじゃないかな」
「千春とのことだよね」
「うん、そうだよ」
その通りだとだ。希望は千春に笑顔を向けて答えた。今の彼にとって千春は幸せの源だ。だからそのことを願わない筈がなかったのだ。
それでだ。彼は願ったというのだ。
「ずっとね。千春ちゃんと一緒に楽しく過ごせる様にってね」
「そうお願いしたんだ」
「そうだよ。それで千春ちゃんは」
「同じだよ」
千春も答える。そうだと。
「千春もだよ」
「そうなんだ。千春ちゃんもなんだ」
「そうだよ。千春も希望とずっと一緒にいられる様にって」
「お願いしたんだ」
「幸せに過ごせる様にって」
住吉の中でもだ。千春はにこにことしていた。
周りは人でごった返している。その中で話すのである。
「そうお願いしたんだよ」
「僕達一緒になんだ」
「そうだね。同じお願いをしたんだね」
「嬉しいよ、本当に」
希望は今この瞬間に幸せを噛み締めた。
「こんな初詣はじめてだよ」
「いつも僕と一緒だったんですよ」
ここで真人が言ってきた。
「お正月も。けれど」
「今みたいなことはお願いしなかったの」
「はい、遠井君も僕も」
真人は少し寂しい顔になった。その時のことを思い出して。
「僕は今は北野さんとのことをお願いしたのですが」
「私もだけどね」
その鈴が気恥ずかしそうに言ってきた。彼女もまた。
「友井君のことお願いしたよ」
「そうなんだ」
「こんなことお願いできませんでした」
真人もだ。そうだったというのだ。
「ただ。今年一年も無事でいたい」
「そうお願いしただけなんだ」
真人と希望が話す。
「二人だけでは。お互いの傷を舐め合うだけで」
「とてもそうはできなかったんだ」
「ですが今は違います」
「千春ちゃんとのことをお願い出来る様になったんだ」
ただ閉じ篭っている様なお願いではなくだ。そこから進めたというのだ。
「僕はそのことがとても嬉しいんだ」
「僕もです」
希望も真人もだった。笑顔で話す。
「それだけ変わったってことかな」
「そう思いますが」
「いい感じに変わったんだね」
千春は希望と
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