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探偵オペラ ミルキィホームズ 〜プリズム・メイズ〜
怪盗
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的な推理とかじゃなくて?」
ポッキーを口にしたネロがーーいつもウィルバーは思うのだが、これらの日本製らしい菓子というのはどこから出てくるのだろうーー言う。
書類の積もっていた机の上を片付け、最後の一枚の書類で机の上を扇ぎつつ。
そうすると、上に積もっているホコリが落ちるものと踏んでいるらしい。
その同じ机にコーヒーのカップを四つと、水がひとつをウィルバーが置く。
「ある意味ではそうとも言えるね。探偵術は科学だと言う人間もいるが、犯罪というのは人間が起こすものだ。
同じ人間である以上、動作の動機や理由、体の構造が、全く異なることはありそうにない。
ゆえに、自己を投影した理屈でもある程度ーーいや、ほとんど全ての説明はつく。
元々、人間個体の差など、多種との差に比べれば1パーセントにも満たない瑣末なものさ」
ドアのほうへ向かうウィルバー。
ノックの音がした。
「だからある意味では経験とも言えるし、論理的な帰結ともいえる」
ドアを開ける。
あまり間をおかずにドアが開いて、驚いている顔の依頼人が、ネロの位置から見えた。
「−−やあ、いらっしゃい。ウィルバー探偵事務所へ、ようこそ」
席へついて、ウィルバーがメイドを振り返った。
「悪い、花梨。砂糖とミルクを持ってきてもらえないか・・・?」
「かしこまりました」
一礼して下がるメイド。
立ち去ろうとするネロに、ウィルバーが言った。
「いや、ネロ。いてくれーーもし嫌じゃなければ」
「で、でも」
「”どうせ学科の授業中は寝ている”んだろう? だったら、ここで実地学習をしていってもバチは当たらないと思うな」
「やーだね。僕はマジメな学生なの。じゃね」
べ、と舌を出して言い、ネロは通学用の鞄を掴み、出て行ってしまう。
驚いた顔をした依頼人の脇を通り過ぎーー彼が連れていた小さい娘にぶつかりそうになり慌ててそれを避けてーー。
窓の下に走り去るネロの姿を確認し、ようやくウィルバーは息をつく。
「さて。お話をうかがいましょう」
*
「死んだ奥さんの形見を取り返してほしい・・・?」
午前と午後の授業を終え、再び探偵事務所を訪れたネロが、焼き菓子をつまみつつ、言う。
同じ建物の一階で営業しているパンの老舗のものだが、どうやら彼女の口に合うらしい。
「そう。例の”嫌な事件”の一端だね」
「なんでそんなこと分かるのさ? 新聞にそんなことまで出てないだろ?」
「独自の情報網というものがあってね。なぁ? ワトスン」
「にゃあ」
澄ました顔で黒猫が啼く。
「彼に一日、新聞社とか警察署とかの窓辺にいてもらうと、あら不思議、大抵のメディアは、忌憚遠慮なく、加工前の情報
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