第十九話 初詣その六
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」
「あの橋を渡らないとはじまりませんね」
「何かね。来た気がしないよ」
住吉にだ。そこまでのものだというのだ。
「渡る必要がなくてもそれでもね」
「そうですよ。まさにあの橋を渡ってこそ」
「住吉に来たってことだからね」
希望は真人と話す。そうしてだった。
二人で、当然千春と鈴も連れてそのうえでだ。
四人で渡る。橋は急斜面で足をかけるところもある。そのかける場所に足をかけながらだった。千春は一歩ずつあがりながらだ。こう希望に言うのだった。
「千春も前ね」
「この橋渡ったことがあるんだ」
「うん。けれどその時はね」
「その時はっていうと?」
「あの書いてあるのはなかったよ」
下に見える川端康成の文章を指し示しての言葉だ。あまり知られている様だが川端は大阪出身なのだ。笹川良一とは小学校で同じクラスだったことがある。
その川端の文章を指差しながらだ。千春は言うのである。
「あれはね」
「川端康成のあれ?」
「そう。あれはね」
「あれっ、何でかな」
千春にそう言われてだ。希望はというと。
首を捻りそのうえでだ。こう言うのだった。
「川端康成って確か」
「昭和四十七年に死んでいますね」
「七十歳位で死んでるよね」
希望は真人に尋ねた。
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