第十一幕その七
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「只の元飼い主の人達です」
「元?違います」
「今もふわりの家族ですよ」
「だからもう一度です」
「一緒に暮らすんですよ」
「いえ、家族は愛情があってなるものです」
家族についての考えも述べました。
「貴方達はふわりに愛情を全く、最初から持っていませんので」
「家族でないですって!?」
「可愛がっていたのに」
「それでまた可愛がるんですよ」
「それの何処が愛情がないっていうんですか」
「ですから最初から愛情があれば捨てません」
そもそもというのです。
「性格が変わったと思っても」
「だから犬じゃないですか」
「犬一匹捨てて何でこうまで言われるんですか」
「親戚も全員縁切りましたけれど」
「そんなことされる理由はありません」
「それも当然です、また申し上げますが」
こう言ってからお話する先生でした。
「貴方達はふわりを裏切り絆を切ってその愛情を捨てたのですから」
「またそう言われますが」
「私達の何が悪いんですか」
「だからふわりをまた飼うって言っています」
「それの何処が悪いんですか」
「悪いことを自覚していないこと自体が悪いのです」
そのこと自体がというのです。
「最早」
「だからですか」
「私達はふわりをですか」
「引き取れません、僕はそうした動きの手助けは一切しません。そして」
先生は穏やかですが確かな声をまた出しました。
「貴方達の様な人は犬いえ生きものを絶対に飼ってはいけません」
「どうしてですか」
「どうしてこう言われますか」
「貴方達を見てです」
そのうえでというのです。
「申し上げています」
「くっ・・・・・・」
「貴方達は親になれませんでした」
こうも言う先生でした。
「生きものを飼う資格も能力も一切なく親にもなれませんでした」
「ふわりの親にですか」
「そうだっていうんですか」
「子供もいるんですよ」
「それでもですか」
「こうして今も一緒にいるのに」
「それでもですか」
二人はお顔を思いきり顰めさせています、そのお顔を見て先生以外の皆は頷きました。これがその相なのかと。
そうしてお茶を飲んでいますが二人はお茶を飲まないまま言いました。
「何処が親じゃないんですか」
「しっかりとここに一緒にいるのに」
「そうです、親とは何か」
先生だけが言います。
「それは愛情と絆によってなるものですから」
「僕達にそれがない」
「親じゃない」
「そしてふわりをまた飼うことに」
「お力を貸して頂けないですか」
「僕は貴方達にそうするつもりは全くありません」
はっきりと言いました。
「何があろうとも」
「くっ・・・・・・」
「もうお話することはありません」
先生は声もお顔も目の光も穏やかなままです、
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