第十九話 初詣その五
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「だからね」
「そうですよね。どうしても」
「その辺りは仕方ないけれどね」
だはそれでもだった。今は。
「今年はね」
「はい、住吉に行って」
「そこで楽しもうね」
「住吉は別格ですからね」
真人もにこりと笑ってだ。住吉のことを話した。
「関西の神社の中では」
「関西は大きな神社が多いけれどね」
「特に奈良と京都ですね」
歴史がそれを形作ってきたのだ。特に奈良には至る場所に立派な神社が多い。そしてそれは寺もだ。奈良は寺社の県と言ってもいい位だ。
そして京都も同じだ。そこもなのだ。
「とにかく素晴しい神社が多いですね」
「お寺もだけれどね」
「はい。ですが神社なら」
「やっぱり関西だと住吉かな」
「伊勢神宮もありますが」
これはまた別格の中の別格だった。皇室の祖である天照大神を祭っているからには。
「あとは。奈良の春日大社に京都の平安神宮に」
「他にも色々あるね」
「ですがやはり住吉は」
「うん、また別格だね」
「そしてその住吉に新年にお参りして」
そしてだというのだ。
「一年のはじまりにしようね」
「僕達のですね」
「僕は恋人としては千春ちゃんとね」
「僕は北野さんとですね」
二人はまずはそれぞれの恋人達について話した。
「お互いにね。はじめてね」
「そうしてですね」
「僕達もだね」
「はい」
真人は満員電車のその窮屈な中でもだった。
希望に優しい笑みを見せてだ。こう答えたのだった。
「友達としてはですね」
「一年をはじめることになるね」
「そうですね。友達としては」
「恋人と友達はまた違うからね」
「はい。また別のものです」
「どちらがいいというものではないけれど」
だがそれでもだというのだ。
「絆としてはね」
「同じですね」
「そうですね。では」
「はい、それでは」
住吉に行こうと話すのだった。二人のこともそこからはじめる為に。こうした話をしながら。
四人は梅田で乗り換えて住吉に行く電車に乗った。そしてだった。
住吉駅に着く。そこも人でごった返していた。その駅の中に降りて。
千春は振袖を少し困った感じで動かしてからこう希望に話した。今も彼の手を抱き締めている。
そうしながらだ。こう言ったのである。
「電車の中暑かったけれど」
「ここもだね」
「うん。暑いね」
汗こそかいてないがだ。そうだというのだ。
「暑いよね」
「人が多いからね」
そのせいでだとだ。希望も答える。
「そのせいだね」
「そうだよね。ただね」
「ただっていうと?」
「この暑さってね」
希望は微笑みなが
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