第13節「復活のガングニール」
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「伸ばしたその手も、誰かを傷つける手じゃないってわたしは知ってるッ!……わたしだから知ってるッ!だってわたしは、響と戦って──救われたんだよッ!」
「──ッ!」
わたしと戦って……救われた……。
フロンティア事変で、未来はわたしと戦った事がある。
仕組まれた戦い。お互い望まない衝突だったけど……あの時、未来は──
「わたしだけじゃないッ!響の歌に救われて、響の手で今日に繋がってる人、たくさんいるよッ!だから怖がらないでッ!」
「バイナラァァァッ!」
飛び上がったアルカ・ノイズの解剖器官が、未来のいる三階の床を丸ごと分解する。
足場を失った未来の身体は宙を舞い、真っ逆さまに墜ちていく。
ダメだ!危ない!未来を助けなきゃッ!!私がッ!!
──無我夢中で走り出したその時、私の胸に歌が浮かんだ。
喪失までのカウントダウン。
ここで間に合わなければ、未来を失ってしまう。
加速していく心臓の音に反して、その瞬間、周囲の光景はとてもゆっくりだったように感じた。
「──うわああああああああああッ!!Balwisyall Nescell gungnir troooooooooonッ!!」
「わたしの大好きな響の歌を……みんなのために、唄って……」
全身を、温かい光が包み込んでいく。
そっか……ようやく思い出せたよ……。
初めてシンフォギアを纏った、あの日の気持ち。
わたしがずっと、唄ってきた理由。
言葉は厳しかったけど優しい、奏さんやマリアさんが。そして、普段はとっても優しいのに厳しい言葉を選んだ翔くんが、わたしに教えようとしてくれていたもの。本当に伝えたかった言葉が、ようやく理解出来た。
わたしは──大事な人達を守りたくて、歌っていたんだ。
俺が現場に辿り着いたその瞬間、駆け出した響が唄を取り戻した。
着地と同時に天井が崩れ、屋上に溜まっていた雨水が滝のように流れ落ちる。
雲の切れ間から顔を出した陽光で、キラキラと反射する流水をバックに、未来をお姫様抱っこして立ち上がる響の身体には──撃槍の戦装束が輝いていた。
「──あ」
「……ごめん。わたし、この力と責任から逃げ出してた……。だけど、もう迷わないッ!だから聴いてッ!」
先程までの迷いを抱えた曇り顔ではなく、迷いを振り切り、決意と自信に満ちた表情で未来を見つめる響。
未来を腕から下ろすと、響は俺の方へと視線を向けた。
「翔くんッ!」
「響……」
「──行こうッ!」
「……ああッ!」
ただ、その言葉だけでいい。それだけで、全てが通じ合った。
謝るのは後だ。今は──共に戦おうッ!!
「ガングニールの復活
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