第13節「復活のガングニール」
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ら今、響が危険に晒されている原因は俺にある……。
俺が不器用だったから、俺がもっとちゃんとしていれば、響はこんな事にはなっていなかった筈だッ!!
もしも間に合わなかったら……そう思うと背筋が凍りつく。
今度は彼女と、彼女の親友の命が懸かっているんだ。あの時とは勝手が違う。
この手を伸ばせなければ、二度と掴む事は出来なくなってしまう。
響を失いたくない。もう二度と、伸ばせるこの手を届けられないなんて嫌だ!
俺はきっと、必ず、絶対に、間に合ってみせるッ!!
「ッ!?ぶはッ!?」
水溜まりに足を取られ、派手に転ぶ。
制服は汚れたし、頬も擦り剥いたっぽい。
顔も髪もびしょ濡れだ。でも、立ち止まっている暇はない。
「ああああああああああああッ!!」
濡れた鞄とトランクを握り直し、再び走り出そうとする。
その時だった。けたたましいブレーキ音と共に、見慣れた車が停車する。
「翔様、お早く。飛ばしますよ」
「春谷さん……!」
いつも通りのクールでよく響くその声は、いつも以上に力強く、とても頼もしかった。
「今度こそ響ちゃんの事、お守りするんでしょう?」
俺は無言で頷くと、素早く後部座席に乗り込んだ。
ff
解体途中の廃ビル。その3階から、未来は下の階を覗き込んでいた。
その下には、3階への階段を跡形もなく解剖し、主人からの命令を待つアルカ・ノイズ達が。
そして1階では、階段から落下した響がミカと向かい合っていた。
「いい加減戦ってくれないと、キミの大切なモノ解剖しちゃうゾ?」
唄って戦わなければ、この街の人間全てを解剖すると脅すミカ。彼女の発する言葉な態度はその全てが子供っぽく、無邪気そのものだ。
それ故に、一切嘘がない。きっと彼女は主からの命令通り、響がシンフォギアを纏うまで、この街に存在する全ての生命を笑いながらバラバラにしてしまうだろう。
そして、響は未だに唄えずにいた。
ペンダントを握り唄おうとしても、聖詠が胸に浮かぶことは無い。ただ、喉から掠れた声と咳が出るばかりだ。
やがて、唄えない響を見たミカは、容赦なくアルカ・ノイズに命令を下す。
「本気にしてもらえないなら……」
彼女の手の動きに合わせ、アルカ・ノイズは未来の方をじっと見つめ、狙いを定める。
追い詰められた未来は……響に向かって叫んでいた。
「あ……ッ!──あのね、響ッ!響の歌は、誰かを傷つける歌じゃないよッ!」
唄を無理矢理捻りだそうとして、喉を押さえて咳き込んでいたわたしは、未来の声で顔を上げる。
アルカ・ノイズに追い詰められ、逃げ道を失った未来は、それでもわたしを真っ直ぐに見つめていた。
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