第13節「復活のガングニール」
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」
「……ついに、ミカまでも」
すぐさま、墓参りに行ったマリア達にも通信が入るが……
『──敵の襲撃ッ!?』
『でも、ここからでは──』
『間に合わないデスッ!』
『アドルフ先生ッ!』
『無理だッ!こんな街外れからじゃ、法定速度オーバーでも間に合わんッ!』
運悪く、今から向かって間に合う位置ではない。
『頼みの綱は、翔だけか……ッ!』
「翔の現在地はッ!?」
「現在、指定座標まで移動中ッ!」
「翔、急いでッ!立花さんと小日向さんがッ!」
『分かってるッ!!』
通信機を片手に、雨の街を全力で駆け抜けていく翔。
彼が濡れた地面を蹴り進んでいるこの間にも、4体目の騎士、戦闘特化型オートスコアラーのミカは、未だ歌えぬ響へと向けて魔の手を伸ばしていた。
ff
走れ、走れ、走れ──もっと速く、もっと先へ、1秒でも速く前へと踏み出せッ!!
心臓が早鐘を打つ。破れるほどに激しく、バクバクと動いているのが聴こえる。
全身を血液が駆け巡り、身体がどんどん熱を帯びていく。
きっとこの鼓動は、走り続けているから鳴っているだけじゃない。
おそらく身体を伝うこの雫も、降り注ぐ雨だけではないのだろう。
それほどまでに、俺は今、冷静さを欠こうとしていた。
アラートが来るまで失念していた。敵の狙いが「シンフォギアの破壊」である事を。
残るギアの内、狙われる可能性が最も高いのは、敵が先日破壊しそこねた響が持つガングニールである事を。
いつもの響なら、問題はなかっただろう。
敵がシンフォギアを破壊する術を持つ相手とはいえ、シンフォギア装者としての経験値は奏さんと姉さん、雪音先輩に次いで高い。
相手がノイズなら、躊躇う理由もない。未来を守るために戦えた筈だ。
だが、今の響は唄えない。
理由は分かってる。響が迷っているからだ。
錬金術師キャロルという、明確に自分を狙って敵意を剥き出しにした相手と戦う事に、強い躊躇いがあるからだ。
その躊躇いが響を迷わせ、響はシンフォギアを纏う理由を見失った。
響は逃げ出したくなってしまったのだ。キャロルと戦う事から。
その迷いは正しい。逃げ出したくなるのも、普通の女の子なら当然だ。
だけどその反面、迷いもあった筈だ。
シンフォギア装者として、ガングニールを纏い戦える。その役割を放棄する道を易々と選べない程に、彼女は装者である自分自身を誇りに思っていたんだ。
俺はそれを解っていながら、蔑ろにしてしまった。
それだけじゃない。選ぶ事から逃げ出した彼女を引き戻し、迷いに無理矢理向き合わせようとしてしまった。
必要な事ではあるけれど、やり方が間違っていたんだ。そんな強引な向き合わせ方じゃ、彼女が傷付くだけなのに……。
だか
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