第十九話 初詣その二
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「それやで」
「お茶漬けなんだ」
「数の子のな」
お正月の定番の一つのだ。それの茶漬けだというのだ。
「それやで」
「数の子のお茶漬けなんだ」
「そや。もうお醤油に漬けてるの冷蔵庫にあるから」
後はその数の子を冷蔵庫から出して冷やした御飯の上に置いてそこにお茶をかけてだというのだ。お茶漬けの食べ方自体は至ってシンプルだった。
「それ食べや」
「うん、じゃあ出て行く時に食べるよ」
「何かお腹に入れると全然ちゃうで」
ぽぽちゃんもだ。ここで希望に笑顔で言ってきた。
「もうな。全然ちゃうさかいな」
「そうだよね。朝御飯食べないとね」
「学校に行ってもしんどいやろ」
「前のお家だとね」
両親と暮らしていた時、その時はだというのだ。
「お母さん朝なんか」
「全然作へんかったやろ」
「御飯ないと。後は本当に何もなくて」
そんな有様だった。前の家の朝食は。
「たまにだけれど食べない時もあったよ」
「牛乳だけとかやってんな」
「うん、本当にね」
そうしたこともあったと話す希望だった。
「その時は辛かったよ」
「そやろ。だから朝食べるとな」
「本当に全然違うよね」
「それにやで。一年はお正月からはじまるんやで」
だからこそ余計にだと。ぽぽちゃんは笑顔で話していく。
「そやから。余計にな」
「今日は食べて行くのがいいんだね」
「家でやで」
しかもだ。そこで食べるのがいいというのだ。
「今年も家で楽しく食べられる様に」
「そうだね。ぽぽちゃんの言う通りだよね」
希望はぽぽちゃんに対しても笑顔で頷けた。そうしてだった。
彼は朝は家で食べることにした。そのことを決めて。
今は寝た。初日の出の時間に目覚ましを合わせて。それからベッドに入った。
目覚ましが鳴って起きて窓の外を見る。そこにだった。
初日の出が見えた。それは希望が今まで見たどの日よりも奇麗で見事に思えた。その初日の出を見て。
一階のリビングに向かいそこで冷蔵庫から出した数の子でお茶漬けを食べた。それからだった。
着替えて家を出る。その瞬間に。
携帯にメールが入った。それは。
まずは千春からだった。あけましておめでとうとあった。そして。
次に真人からもだった。二人から新年の挨拶のメールが来た。希望はその二通のmw-ルを見て笑顔になった。そのうえで返信を送った。
それからだった。彼は駅に向かう。八条鉄道のその駅に。その入り口に行くと。
千春がいた。今日の千春はというと。
見事な、桃色の振袖を着ていた。柄は雪に月、それに花だった。
まさに雪月花そのものの振袖を着て。笑顔で希望にこう言ってき
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